経営企画に異動したい人が学ぶべきスキル&異動後に戻りたくなるケース

経営企画に異動したい人が学ぶべきスキル&異動後に戻りたくなるケース

経営企画部門は、企業によっては花形部署であり、将来を期待された人材が配置される可能性もある部門ともいえます。

また、自身のスキルやノウハウを磨きつつ企業成長に大いに貢献できる反面、経営陣からの急な要請も多く、非定型的かつ難易度もそれなりに高い業務を伴う部署といえるかもしれません。

そのため、安易に異動を希望しても良いのかと迷われている方も多いでしょう。

今回は他部門から経営企画部門への異動を希望する方が、異動後に戦力として機能するためにあらかじめ経験しておいた方がよい部門やスキルを、事業会社を想定して紹介します。

さらに、異動後に元の部門に戻りたくなってしまったケースについても、前向きな動機と後ろ向きな動機のそれぞれを想定しながら確認していきます。

経営企画への異動を目指すために経験しておいて有利な部署は?

経営企画への異動を目指すにあたって、どのような部門・部署を経験しておくとよいのでしょうか。

将来的に経営企画に異動した際に、所属していて有利に働く部門や業務を紹介します。

新規事業開発部門

まず想定される部門として、新規事業を開発する部門の経験が挙げられます。

多くの企業において、新規事業開発は将来的な成長戦略を描く重要な役割であることから、経営戦略と密接に結びつくことが多いでしょう。

新規事業開発部門の経験者は、自社が属する市場や将来的な市場の成長性など、市場を見る目を養っていることや、ゼロから新たな事業を生み出していくドライバーとなることが期待されます。

そのため、経営の参謀である経営企画部門において十分フィットする可能性があります。

企業によっては、経営企画部門の中に新規事業開発の役割が含まれる場合もあり、その点でも部門間の親和性が高いといえるかもしれません。

マーケティング部門

新規事業開発部門に加えて、マーケティング部門も市場動向をキャッチしつつ、常に最新情報を追っていることから、マーケティング経験者も重宝されるかもしれません。

また、マーケティング部門の中でも事業サイドにおいて新たな製品やサービスの可能性を検証したり企画をしたりする役割を担う場合は、企業の売上や成長に直結することから、経営企画との親和性が一定程度あるでしょう。

特に、経営企画は事業面の理解が不可欠であり、事業部門と連携を常に図っていく必要があります。

そういった意味でも、マーケティング経験者が経営企画部門に異動することで、経営、事業双方に精通することになるという点でも貴重な戦力となるでしょう。

一方で、マーケティング部門の役割としてプロモーションや広報PRが中心である場合、企業によっては、経営企画部門の業務や必要とされる経験との親和性が薄い可能性があります。

狭義のマーケティングであるプロモーションは経営全般よりも、製品・サービスとの親和性が高いためです。
入社後のミスマッチを防ぐために、志望企業の経営企画業務が自身の経験・スキルと親和しているか、事前に確認しましょう。

セールス部門

マーケティング経験者と近い考え方ですが、セールス経験者も経営企画部門で通用する可能性がある職種の一つです。

その理由として、営業の第一線で活躍していると顧客との対話の中で市場動向の把握ができることや、売上をはじめとした数値を追う意識が身に付いているためです。

さらに、営業実績のある担当者は顧客との密な関係を構築していることもあり、コミュニケーション能力に長けていることが考えられます。

詳しくは後述しますが、経営企画においても、部門長やメンバーをはじめとする部門間や経営陣など、人とのやり取りが非常に多くなります。

そのため、顧客との接点を上手く構築しているセールスであれば、社内のコミュニケーションも難なく行えることが期待されるでしょう。

財務経理部門

コーポレート部門の中でも、とりわけ財務経理部門を経験した方は経営企画部門との親和性が高いと考えられます。

財務と経理でまとめて語られることも多いですが、役割においては違いがあるので、それぞれに分けて経営企画部門で活かせる理由について確認します。

まずは財務経験者についてです。
財務部門は将来的な資金調達や資金繰り、金融機関対応など資金にフォーカスした業務が中心です。
企業における投資の意思決定は、取締役を中心とした経営陣で行われることが多いでしょう。

そのため、以下のようなことを検討する必要があります。

  • 将来的にいくらの資金が必要なのか
  • そのための資金をどのように手当するのか
  • その手段は借入なのか
  • 資本市場からの調達なのか
  • 株式の交換なのか など

財務経験者が経営企画に着任後、過去の資金関連業務の経験が活用できれば、部門としての業務の幅が広がることも期待できます。

また、経理担当者と共通する点としては、会社の数値を扱う業務であることから、経営企画特有の計数管理等へのアレルギーがないことでしょう。

一方の経理経験者についてですが、経理は決算や監査対応等、過去の経営実績に対する対応が中心となります。

経営企画での重要な業務の中に予実管理があり、予算という将来的な考え方に対して実績を比較し、企業としてどのような状況であったのか、レビューする必要があります。

とりわけ上場企業になると、決算説明やIRなど対外的な説明の機会も発生します。

財務会計に明るい経理経験者は、経営企画が主に取り扱う管理会計との親和性もあるといえるでしょう。

グローバル部門

おもに海外展開している企業で、グローバル部門経験者は国内市場だけではなく常に海外市場を意識することができる方といえます。

国内市場をターゲットとしたマーケティングやセールス部門ではなかなか意識できない視点と言えるかもしれません。

さらに、海外子会社の出向経験や、小規模であってもそこで経営に携わっていたことがある方においては、なかなか経験できないことでもあり、非常に重宝されるでしょう。

また海外事業は国内事業同様に、セールスやマーケティング、生産、管理等、各部門が関係することとなります。

どの部門であっても海外部門を経験していることがプラスに働くといえ、グローバル部門経験者が経営企画部門に参画することによって、経営企画としても新たな視点が加わることが期待できるでしょう。

経営企画へ異動するために積んでおいた方がよいスキルは?

前項で紹介した各部門の経験を前提として、経営企画へ異動する前に積んでおいた方がよいスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

異動前に必ずしも今回紹介するスキルのすべてに長けている必要はありません。しかし、得意な分野やこれまでのキャリアの中で親和性があるものについては、磨いておいた方がよさそうで経営企画部門に異動して効果を発揮するスキルを中心に紹介します。

戦略的思考力

まず重要なのは、戦略的に考えて論理的に説明できるスキルです。

経営企画部門では、組織の長期的なビジョンや目標に基づき、経営陣とともに戦略を策定する役割が求められます。

戦略的思考力を身に付けることで、経営の視点から課題を発見、分析して、経営陣に対して説得力のある適切な戦略や課題解決策を提案しなければなりません。

抽象的・感覚的ではなく具体的・論理的な考え方を身に付けていくためにも、あらかじめ戦略的思考を習慣化することが重要でしょう。

計数管理

次に挙げるのが、企業数値全般の管理や分析に強いスキルです。

経営企画の主要業務である中期経営計画の立案や、単年度予算の立案、さらには予算実績管理などは、常に会社数値が関係してきます。

そのため、予算や計画、実績等の各数値の定量的な分析とともに、財務や経理における専門的な用語を理解しながら経営陣と対話をしていくことが必要です。

さらには、各部門や子会社からの数値の吸い上げや、数値面での課題の発見と改善策の提案も重要になっています。

これらをこなすための前提として、計数管理に明るくなっている必要があります。

情報収集と分析力

企業が所属する市場において、現在おかれている状況や今後の市場の方向性などを的確に情報収集して経営企画部門としてインプットしておくことが重要です。

情報としては、国内外を問わず競合他社の状況や法規制の影響、SDGsに関連すること、さらには新たな技術進化の方向性などは常にウオッチしておく必要があります。

技術進化については、とりわけChatGPTに代表されるAIの動向はどの企業にとっても多大なる影響を及ぼす可能性があることから、最新情報を仕入れておいた方が良さそうです。

また経営企画部門の存在意義としては、これらの情報を収集、整理、分析し、経営陣や各部門に対して自社に影響する情報のアウトプットをしていく必要があるでしょう。

アウトプットにおいては、収集した情報を単純に集計するだけではなく、経営企画部門の価値として見解を添えながら、多面的に分析することが求められます。

情報収集と分析力は特段経営企画部門に限定されるスキルではなく、他部門経験者においても必要とされることもあります。

そのため、普段から情報収集と分析の習慣づけを行っておくと、晴れて経営企画部門に異動になった際には応用できると言えます。

プロジェクトマネジメントとリーダーシップ

経営企画部門は、経営陣に代わって各部門からの情報のとりまとめや、課題対応の指示を行っていく必要があります。

そのため、各部門を期日管理しながら束ねていくプロジェクトマネジメントのスキルも重要となってきます。

経営企画は経営数値を取りまとめる役割を任されている部門です。各部門からの吸い上げを期日通りに実施しないと経営陣への共有も遅れ、結果的に意思決定が遅れることとなります。

加えて、経営課題を推し進めていくためには、各部門に対して課題の対応をして貰うように丁寧に説得する、リーダーシップを発揮しなければならない場合もあるでしょう。

そのため、各部門との適切な関係を築いておかなければ、部門からの課題対応状況の入手も遅れがちとなります。

ときには部門に対する相談役としての役割も果たしていく必要が出てくることから、後述するコミュニケーション能力とともにプロジェクトマネジメントやリーダーシップのスキルを磨いて行く必要があります。

コミュニケーション能力

経営企画部門では、社長をはじめとした経営陣や各部門長とのコミュニケーションが必ず発生します。

経営企画担当として、全社各部門とのコミュニケーションは避けては通れないスキルと言っても過言ありません。苦手なタイプの他部門の部門長とも円滑にコミュニケーションを行うことが求められます。

また、経営陣や社長の方ばかり向いた御用聞きのような一方向のコミュニケーションのみでは経営企画の役割を果たしているとは言い難いでしょう。

全社の目標達成や課題解決のためにも、経営陣と各部門の双方向の利害を上手く調整するコミュニケーション能力が重要であると言えます。

変化に対応する柔軟性

経営においては、市場との対話を通じて柔軟に変化に対応することが求められます。

経営企画においても、経営陣の意向や考え方の変更を理解しながら、自分自身も時には業務を速やかに変更して対応する必要があります。

また、変更があれば、各部門との新たな連携も発生するでしょう。

企業としての変化への対応局面において、経営と現場の間でひずみがでないように、コミュニケーション能力の発揮とあわせて求められるスキルであるといえます。

紹介した以外にも、優先度は下がるかもしれませんが、
・プレゼンテーション能力
・ファシリテーション力(まとめる力)
・外国語スキル(英語)
・企画力
・経営全般に関する知識(経営企画異動後積み上げてもよい)
なども備えておくと有利になると考えられます。

経営企画異動後に元の部署に戻りたくなるケースは?

晴れて希望した経営企画に異動ができたものの、実際に業務を経験してみて「元の部署の方がやりがいもあって良かったかも」と感じるケースがあるかもしれません。

具体的どのようなケースが考えられるか、前向きな動機と後ろ向きな動機に分けて確認してみます。

前向きな動機

前向きな動機としては、経営企画部門である程度スキルを身に付けたので、元の部署に戻ってそのスキルをさらに発揮したいという点です。

それなりにスキルを身に付けた場合は、社長をはじめとする経営陣や経営企画部門長とも円滑に業務をしていた可能性が高いと考えられます。

そのため、異動を惜しまれることも考えられますが、会社のことを考えての異動であれば、希望が叶う可能性も有るかもしれません。

一方、何らかの刺激を受けて新たなチャレンジをしたくなったという方もいらっしゃるでしょう。

例えば「元々は新規事業部門にいてその実力を買われ会社全体を俯瞰する経営企画部門へ異動してきたものの、新たに事業の種を着想し元の部署に戻って芽を出したい」という場合です。

このような動機も企業にとっては成長のドライブになる可能性があるため、歓迎すべき異動と位置づけられるでしょう。

後ろ向きな動機

後ろ向きな動機としては、経営陣、とりわけ社長の方針や相性が良くないという点が挙げられるでしょう。

社長から指示されたことや方針に対して、経営企画として違和感を抱きながら業務を進めることになると、このような動機が生まれてしまうことはあります。

また、そもそも上司である経営企画部門長や他のメンバーと上手く仕事ができない点も挙げられるかもしれません。

お互いのスタンスや相性がどうしようもない場合など変えようのない点はありますが、経営企画部門に限らずどの部門でも発生することなので、慎重に考えるべきでしょう。

一方で、部門長の言っていることがころころ変わる、さらには上手くマネジメントしてくれなくて後戻りしてしまうという点は、部門長や経営陣とのコミュニケーション能力を磨いて解消していくなど、持ち前のスキルで対処できる可能性はあります。

そして、経営企画部門の業務に期待して異動してきたものの、本来イメージしていた業務とは違っており、雑用を中心としたスキルが身に付かない業務が多かったというのも考えられます。

いずれの場合においても、自分自身のスキルや後述するキャリアプランとの整合性が取れているかは重要な視点となるでしょう。

短期的ではなく中長期的なキャリアプランが重要

特に後ろ向きな動機でもとの部門に戻りたいと考えてしまう方にとっては、中長期的に自分がどうなっていたいか計画的に考えておくことも大切でしょう。

さらに、異動前に思っていたこととは違っても、将来的に経営企画でどのようなことを成し遂げたいのか、可能なら上長や人事と確認しながら年限を区切って目標を明確化しておくことも重要です。

目標が明確になっていれば、異動後の少々の違和感は一次的なノイズであるという考え方もできます。

特に経営企画における中途半端な経験のまま異動をすることとなると、スキルやノウハウが十分に身に付かない可能性があります。

自己都合による短期の異動は所属企業に対する人事評価においても、また今後の自身のキャリアプランにおいても充実したものとならない可能性があります。そのため、慎重に検討するのが良いと言えるかもしれません。

経営企画部門に異動するために得意な経験・スキルを伸ばす

経営企画部門に異動したい方に向けて、経験しておいて有利な部署やおもなスキル、また異動後にもとの部署に戻りたくなった場合を想定して紹介しました。

今回紹介した経営企画部門と親和性がある部署やスキルは主要なものですが、それ以外にも、経営企画部門に異動した際に力を発揮できるものがあると考えられます。

また、経営企画部門は、経営陣とのやりとりをはじめとして、各部門との調整等も発生します。

そのため、多面的なスキルが必要となりますが、今回紹介したスキル全てを身に付けることには一定の難易度があります。

よって、異動前の部門での経験をそのまま活かしつつ、得意な分野をより伸ばしていくことが特に大切と言えるでしょう。

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今回は、経営企画に異動する場合に必要なことと、異動後に元の部署に戻りたくなるパターンについてお伝えしました。

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