【最新版】コンサルタントの「転職先」とキャリア成功の秘訣──キャリアのプロに訊く「ディレクター・マネージャー」の転職分岐点──

【最新版】コンサルタントの「転職先」とキャリア成功の秘訣──キャリアのプロに訊く「ディレクター・マネージャー」の転職分岐点──

マネージャー、ディレクター、パートナークラスのコンサルタントにとって、キャリアや転職先の事情は大きな関心事です。しかし、そのリアルな姿は外からではなかなか見えません。

本記事では、長年にわたり多くのパートナー~マネージャーのキャリアを支援してきたアクシスコンサルティングのキャリアアドバイザーに、「今現場で実際に起きている」最新の転職事情を伺いました。
役職ごとのリアルな課題から、意識すべき優先順位、そして転職を成功させるためのポイントまで、ぜひご自身のキャリアを考える際の参考にしてみてください。

マネージャーからシニマネ昇格が、転職のターニングポイント

編集者
読者の中には「このまま昇格を目指すべきか、それとも外に出るべきか」と迷う方も多いと思います。そんな中で、マネージャー、ディレクター、パートナークラスの方たちが転職を考えるのは、どういった理由からでしょうか?

AXISキャリアアドバイザー
ディレクターやパートナークラスの方々は、業界内ではいわゆる「勝ち組」です。そこに到達できるのは一握り。さらにその上となると席が非常に少なく、ファーム内での昇格余地が限られます。加えて、外に出ても現在の報酬水準を維持できる転職先はごく一部に限られる。結果として「次をどうするか?」という選択肢は極めて限定的です。
一方で、最も大きなターニングポイントになるのはマネージャーです。実はマネージャーからシニアマネージャーへの昇格はハードルが非常に高く、この段階でキャリアの方向性を見直す方が多い印象ですね。

編集者
転職先としては、どのような選択肢が多いのでしょう?

AXISキャリアアドバイザー
目立つのは、事業会社への転身を希望されるケースです。また、同じコンサル業界内での転職においては「専門領域を変えたい」「年収を上げたい」「上位のタイトルを狙いたい」といった目的が多いです。
そのほか、ファンドへの転職や、最近ではフリーランスとして独立する道を選ぶ方も増えています。従来と比べてコンサルタントのキャリアパスは着実に多様化しているといえますね。

事業会社ではDX部門や新規事業開発ポジションが人気

編集者
事業会社に転身される方が多いとのことですが、具体的にはどのようなポジションが人気なのでしょうか。

AXISキャリアアドバイザー
ご経歴にもよりますが、最近はコンサルティングファームでDX関連の経験を積まれている方が多いため、DX部門が人気です。また、財務会計領域の経験をお持ちの方であれば、ファイナンス部門の業務改革に携わり、将来的にCFOを目指すといったキャリアパスを描くケースもあります。
とはいえ、全体的に見て根強いのは新規事業や事業開発のポジションです。新しいテーマに挑戦して事業をグロースさせていく役割を志向される方が、特にマネージャークラスには多い印象です。

編集者
企業規模についてはいかがですか?

AXISキャリアアドバイザー
多くの方はワークライフバランスと一定の年収を重視するため、結果的に大企業志向になるケースが多いです。ただし、事業会社では年収の上限は1,200万〜1,300万円程度で、その金額に見合った役職での採用が前提になります。つまり、コンサルタントとしての期待値と、事業会社の提示する現実とのギャップに直面する場面が多いということです。

編集者
もし希望年収と実際のオファー額にギャップがあった場合は?

AXISキャリアアドバイザー
特にご家族がいる方は年収を重視される傾向が強いです。以前は「多少年収が下がってもチャレンジしたい」と考える方も多かったのですが、近年は社会情勢の不安定さもあり、安定や経済的基盤を優先する方が増えているように感じますね。

編集者
先ほどディレクター、パートナークラスの方たちは、年収的に出口が限られるとのことでしたが、事業会社側の採用意欲はいかがでしょうか。

AXISキャリアアドバイザー
採用意欲は高まっていると感じます。特に最近は、事業会社が自社内にコンサルティング機能を立ち上げるケースが増えています。そうなると責任者クラスのポジションが必要になるため、コンサルファーム出身者への需要は強まっているのです。

報酬面については、年収ベースで見ると下がることも多いですが、その分ストックオプションや長期インセンティブが提示されるケースもあります。ベンチャーよりは高水準を維持できることが多いため、チャレンジングでありながら現実的な選択肢として捉えられることが多いです。

一方で、従来型の「経営企画トップ」といったポジションが急増しているわけではありません。

コンサルからコンサルへは領域変更、年収アップ、タイトル狙いが目的に

編集者
コンサル会社間の転職では「領域を変える」という理由が多いと聞きましたが、具体例を教えていただけますか。

AXISキャリアアドバイザー
たとえば、財務会計領域でDXやERPの導入を経験された方が、よりビジネス寄りのファイナンシャルアドバイザリーやM&Aにキャリアをシフトするケースがあります。
また、幅広い業界のプロジェクトを経験されてきた方が「自分の得意分野を生かしたい」と、特定業界に特化したコンサルタントへ転身する例も少なくありません。

最近では、サステナビリティやESGといった新しいテーマに関心を持ち、「専門性を磨きたい」「キャリアの幅を広げたい」と希望される方も増えています。

編集者
ちなみに社内で領域を変えることはできないのでしょうか?

AXISキャリアアドバイザー
一応、社内異動の仕組み自体は整っているところもありますが、やはり大規模な組織になるほど、一人ひとりの希望が必ずしも通るわけではありません。そのため、「だったら外に出た方が早い」と判断して、転職を選ばれる方が多いのが実態です。

編集者
上位タイトルを狙うというのも、社内ではチャンスがゼロではないけれど、外に出た方が早いという意味でしょうか。

AXISキャリアアドバイザー
そうですね。特に、上位ポジションになればなるほど、どのクライアントの予算を担当するかによって昇格の機会が左右される中で、既に上級者がその重要なクライアントを抑えてしまっている状況では、社内での昇格を待っていても相当な時間がかかってしまいます。そう判断して、転職を考えるケースがありますね。

編集者
昇格、昇給がしづらくなっていると。

AXISキャリアアドバイザー
それも大きな要因のひとつだと思います。

フリーコンサル増加、個人でもプロダクトに挑戦できる時代

編集者
一方で、近年はフリーランスとして独立する方も増えているとのことでした。その背景にはどのような理由があるのでしょうか?

AXISキャリアアドバイザー
まず大きな要因は、派遣型でクライアント先に常駐するケースが増えていることです。こうした働き方が広がる中で、自社への帰属意識が薄れ、「それなら独立しても変わらないのでは?」と感じる人が増えているように思います。
また、組織に属している限り、どれだけ成果を出しても報酬はある程度決まってしまいますよね。一方で、クライアントと直接向き合いながら伴走すれば、自分の貢献に見合ったリターンを得られる可能性がある。そう実感する方が増えてきたことも理由の1つです。

さらにクライアント側にとっても、上位タイトルのコンサルタントは単価が高くなります。その点、マネージャーやシニアマネージャークラスで独立した方は、経験豊富でありながらコストも抑えられるという意味で、ニーズが高まりやすい。こうした市場の変化も、独立を後押ししているのではないでしょうか。

編集者
実際にどのようなタイプのフリーコンサルが増えていると感じますか。

AXISキャリアアドバイザー
最近目立つのはプロダクトづくりに挑戦するタイプですね。
直近で独立された方の例だと、戦略コンサルやファンド出身で、独自にアプリを開発したり、フリーランスとして会社を立ち上げ、健康系のゲームプロダクトに取り組んだりしている方がいます。
背景には、プロダクト開発にかかるコストが格段に下がっていること。今は個人や小規模チームで新しい事業にチャレンジできる時代です。そうした環境がフリーコンサルの選択肢を広げているのだと思います。

転職成功の鍵は「マイパーパス」を持っているかどうか

編集者
さまざまなお話を伺ってきましたが、コンサルタントが次のステップを決める上で、特に意識すべきポイントは何でしょう。

AXISキャリアアドバイザー
私見になりますが、「マイパーパス(自分の軸)」を持つことが大切だと思います。自分のキャリアの方向性をしっかり描けている方は、転職活動の意思決定もスムーズに進む印象です。
たとえば「自分で組織をつくり、クライアントのあるべき姿を実現したい」といった明確な軸を持っている方は、迷いが少ない。一方で、現職への不満がきっかけで転職を考え始めた方は、軸が曖昧で、どうしても「年収」や「タイトル」などの条件面に意識が向きがちですね。

編集者
「マイパーパス」を、もう少しかみ砕くとどのようなイメージですか?

AXISキャリアアドバイザー
ディレクターやパートナークラスになると、個人ではなくチームで成果を出すことが求められます。たとえば「メンバー」「クライアント」「自分」の三者がハッピーになれるかどうかを意識して動いている方は、転職に成功する確率が高い印象です。

一方で、マネージャーやシニアマネージャークラスになると、キャリアと家族の両立が軸になる方が多いですね。ちょうどライフイベントと重なる世代でもあるため、「ワークライフバランスをどうするか」「給与をどこまで優先するか」といった点が、次のステップを選ぶ際の判断基準になってきます。100%希望を満たしてくれる会社は、正直なところ存在しません。結局は、「何を妥協できるか」に尽きると思います。だからこそ、「自分が本当に大事にしているものは何か」「次に選ぶ会社で一番譲れないポイントは何か」を、会話の中で一緒に明らかにしていくことが大事なんです。

ただ、最初からそれを言語化できている方はごくわずかです。やり取りを重ねるうちに、少しずつご本人の本心が見えてくることが多いですね。

上位層とマネージャー層では、優先順位や意思決定の視点が異なる

編集者
キャリアの軸を言語化した後、実際にはどのように優先順位をつけていけばよいのでしょうか?

AXISキャリアアドバイザー
まずは出てきた選択肢をさらに深掘りしてヒアリングします。自分で順位をつけられない場合は、こちらから比較材料を示し、一緒に整理していく形ですね。
上位層、特にディレクターやパートナークラスになると、最終的にはヘッドハンティング型の転職が多くなります。そのため「自分がこの企業にどう貢献できるか」という視点が強く、やりたいことよりも現実的にパフォーマンスを出せるかを重視して企業を見ています。
さらに、役員クラスと直接会う機会が増えるため、相性の判断もシビアです。上に行けば行くほど上司が少なくなるので、相性の見極めが意思決定に直結するんです。

一方でマネージャークラスは、選択肢を横に並べて自分の軸にどれが合うかを比較していくスタイルが多く、そのためアプローチの仕方は上位層とは逆になることが多いですね。

成功事例:迷いの多かったマネージャーが軸を定めリスク領域へ

編集者
実際に次のステップをサポートされた事例があれば教えていただけますか?

AXISキャリアアドバイザー
印象的だったケースがあります。最初は典型的な「キャリア迷子」の状態で、「前職の業界に戻りたい」「グローバルな環境で働きたい」「事業会社での経験も積みたい」といったように、志向がバラバラで、どこを目指したいのかが定まっていませんでした。
そこで一緒に「本当に何をやりたいのか」を整理していきました。その中で、ご本人が関心を持っている業界があることが見えてきたのですが、その業界は構造的に収益性の課題があり、キャリアアップの観点で悩ましい面もありました。そこで、「優先すべきは何か?」を改めて考え直し、最終的には専門性を活かせる成長領域にキャリアをシフトすることになりました。
結果的に希望に近い形で転職が実現し、しばらく経ってから「毎日やりがいを感じて働けていて、あの時の決断は正解でした」とご報告をいただいた時は本当にうれしかったですね。

結果的に大手コンサルティングファームに転職し、半年後には「毎日楽しく働けていて、あの決断は正解だった」と報告をいただいた時はうれしかったですね。

編集者
やはり、現実を見つめ直すことで、優先順位が変わることもあるのですね。

AXISキャリアアドバイザー
そうですね。そのプロセスを経ることで、自分が本当に進みたい方向が見えてきて、結果的に選択肢も広がっていきます。そこに私たちが伴走できるのが、この仕事の醍醐味でもありますね。

おわりに

役職やライフステージによって、年収、ワークライフバランス、家庭との両立、キャリアの広がりなど、優先すべきものは人それぞれ異なります。ただ共通して言えるのは、「すべてを満たそうとするのではなく、自分のマイパーパス=譲れない軸を明確にすること」が、次の一歩を決める鍵になるということです。
本記事が、皆さんのキャリアを考える上でのきっかけになれば幸いです。

アクシスコンサルティング

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