「走り続けるリーダーの哲学」──SIer出身エンジニアからパートナーへ。EYストラテジー・アンド・コンサルティング TSTチーム 忽那桂三氏の挑戦と共創

「走り続けるリーダーの哲学」──SIer出身エンジニアからパートナーへ。EYストラテジー・アンド・コンサルティング TSTチーム 忽那桂三氏の挑戦と共創

SIerの営業現場で衝撃を受けた「イシュードリブン」との出会いから、社員番号94番でEYに参画。発足当初は数十名だった組織を数百名超へと成長させたEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション部門(TST)のリーダー/パートナー・忽那桂三氏。
「ソリューションを売る」のではなく「クライアントの課題に向き合う」姿勢を貫き、パーパス(存在意義)「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」を羅針盤に組織を率いてきた同氏が語るのは、「共感」と「次世代へのバトン」を核としたリーダーシップ哲学。そして、ウェルビーイングを5つの軸でとらえ、メンバー一人ひとりの幸せを多面的な「球体」で包み込む組織づくりへの終わりなき挑戦。
エンジニアから事業部長、そしてグローバルネットワークのパートナーへ──走り続けるリーダーが見据える、コンサルタントの本質とチームの未来にAXIS堀場が迫る。

SIer時代に気づいたソリューションドリブンの限界、イシュードリブンへの転換点

AXIS堀場
本日は、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)のテクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション部門、リーダー/パートナーの忽那様にお越しいただいております。まずは、忽那様のこれまでのキャリアから伺ってもよろしいでしょうか。

忽那様
海外の学校でコンピューターサイエンスを学んだ後、ベンチャー企業でエンジニアとしてキャリアをスタートしました。現在では上場し大きく成長していますが、当時はまだ社員8名ほどの小規模な組織。システム構築から不具合修正、さらには営業まで、ほとんどすべてを担当しており、「全部自分でやるって、ちょっとかっこいいな」と感じていましたね(笑)。責任を持って一連のプロセスを回す経験は、今振り返っても良い経験だったと思います。

AXIS堀場
そこからコンサルタントを目指されたきっかけは何だったのでしょうか。

忽那様
2社目に勤めていた金融系SIerでの経験が大きなきっかけでした。事業部長として営業責任を担い、ベンチャー時代よりもはるかに大きなプレッシャーを感じていました。当時は「ソリューションドリブン」、つまり自分たちの製品やサービスの特徴を一生懸命アピールしていたのですが、なかなか売れず、お客さまの心にも響きませんでした。

そんなある日、金融業界で経験豊富なベテランの方が営業に同行してくれたのですが、その時の衝撃は今でも忘れられません。私はソリューションの機能や特徴を一方的に話していたのに対し、その方は「クライアントのビジネスは今後どうなるのか」「そこに対して私たちがどう力になれるのか」という“イシュードリブン”な視点から会話を始めていたのです。

お客さまの業務を深く理解し、どうあるべきかを一緒に考える。その上でテクノロジーをどう活用するかを示す。それこそが、本来のコンサルタントの姿だと強く感じ、この道を志す決意をしました。

AXIS堀場
「イシュードリブン」の思想は、今のチーム運営の原点になっているのですね。

忽那様
その通りです。私たちのチームでは、ソリューションを手に営業に行くのではなく、まず「クライアントが何に苦しんでいるのか」をつかむことから始めます。これは特別なスローガンとして掲げているわけではなく、メンバー全員が理解し、自然と身体が動くカルチャーになっていますね。

忽那様

「自分たちは何のためにコンサルをするのか」パーパスが示した存在意義

AXIS堀場
2011年にEYアドバイザリー(現EYSC)にご入社され、社員番号94番という、まさに創業期のメンバーだったと伺いました。当時はどのような思いで入社されたのでしょうか。

忽那様
前職でコンサルタントとしてのスキルは磨いてはいたものの、実際にグローバルネットワークでコンサルティングを手掛けるのは初めてでした。マネージャー職でジョインしたということは、自分で案件を取り、メンバーの雇用と生活を守る責任を負う立場になるということ。スタートアップの状態に不安はありましたが、それ以上に「みんなで立ち上げていくのだ」というベンチャースピリットにやりがいを感じました。

AXIS堀場
とはいえ、創業時には大変なご苦労もあったかと思います。特に印象に残っていることはありますか。

忽那様
立ち上がったばかりの頃は、メンバーの生活を支えながら自分自身も成果を出さなければならず、そのためにはどんな案件でも受けていかざるを得ない状況でした。提案と実案件を合わせて、同時に6本並行で動いていたこともあります。加えて、監査法人からのコンサルティングニーズを数多くいただき、温かく成長を後押ししていただいたのも大きな支えでした。

一方で、常に「イシュードリブンでクライアントの力になりたい」と思っていたので、特定の部門や業務に閉じた支援を続けていると、次第に「自分たちは何のためにコンサルティングをしているのか」「本当にクライアントの力になれているのか」という葛藤も生まれてきましたね。

AXIS堀場
その状況を打開したターニングポイントは何だったのでしょうか。

忽那様
転機となったのは大きく2つあります。1つ目は、2013年にEY全体で制定されたパーパス「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」です。もともとはサービス名の1つとして使われていましたが、この年に正式に会社全体の存在意義として位置づけられました。

それまでは、自身の転職も含め「その企業でどんな案件に入れるのか」「年収はどうか」「グローバル案件に関われるか」といった環境要因を重視していました。もちろん、それらは時に良い方向に働くこともあれば、変化に左右されて不安定になることもあります。

一方で、パーパスはもっと先にある存在意義です。自分が中長期で見てクライアントに何を貢献しているのか、していきたいのかを考えることで、目の前の判断や行動がブレにくくなる。そこに気づけたことが、大きな転機になりました。

AXIS堀場
ターニングポイントとなった2つ目は何でしょうか。

忽那様
チームの規模が大きくなり、視点が変わったことです。最初は数十名ほどでスタートし、50名を超えた頃から案件の規模も大きくなっていきましたが、それでも当初は目の前の案件を取ることで精いっぱいでした。

ところが100名を超えると、対応できる案件のバリエーションが一気に広がりました。そして150名を超えたあたりからは、個々の案件に追われるのではなく、部門として主体的にサービスを提供できるようになったと感じています。

忽那流リーダーシップの哲学、「共感」をベースにした仲間との共創へ

AXIS堀場
職階が上がることで、リーダーシップの価値観はどのように変わっていきましたか。

忽那様
職階が上がるにつれて、自分の責任範囲も変わっていきます。最初は自分ひとりで案件を回していてもたのが、次第に配下のメンバーを活かすことが求められるようになる。シニアマネージャーではチーム全体を意識するようになり、ディレクターになると「チームをきちんと形成できているか」が問われます。

EYには「入学要件」という評価制度があり、昇格の前に上位職でも活躍が可能なスキルとマインドを身につける必要があります。ですから「こう活躍したい」という思いが先にあり、その思いがポジションを連れてきてくれた、そんな感覚でしたね。

AXIS堀場
その中で、忽那様のマインドチェンジが1番必要だったタイトルはどこになりますか。

忽那様
やはりパートナーですね。簡単に言えば、「なぜ自分がパートナーであるべきなのか」を証明できなければなりません。EYの中でも、あるいは他のコンサルティングファームを見渡しても、「同じことをしている人がいない」と言える存在であることが重要です。

ビジネスをつくり、それを支えるスキルセットとチームを築くこと。これが最も大きなハードルでした。当然、私自身にも足りない部分は多くありましたが、今できていることと、これから伸ばしていけることをしっかり示し、ご理解いただけたのだと思います。

AXIS堀場
チームを率いる上で、忽那様の核となるリーダーシップ観は何でしょうか。

忽那様
大切にしているのは2つ。1つは「共感」です。チームとしてどの方向に進むのかを伝えるだけでは不十分で、その背景にある思いを共有しなければ共感は生まれません。

たとえば、「医療業界のため、お客さまのため、その先の患者様のために力になろう」と言うだけでは響きにくい。でも「祖父母がパーソナライズされた適切な医療を受けられていなかった。そこに問題意識を感じ、コンサルタントとして何かできないかと思っている」と具体的な思いを話すと、似た経験を持つ人やイメージできる人から共感が生まれます。共感が芽生えれば、チームはポジティブに、能動的にその方向へ動き出します。だからこそ、共感はチームが成立するために不可欠だと思っています。

2つ目は「次の世代にバトンを渡していくこと」です。これは尊敬していた上司に教わったことでもあります。自分が今のポジションに居続けることは、むしろ組織の成長を妨げる。自分より上手にリードパートナーを担える人が出てきた時に「忽那がいるから上がれない」と思わせてしまったら、それはリーダー失格です。

もちろん会社を去るという意味ではありません。組織全体の血の巡りが良くなるように、私自身がさらに上のポジションを見られる人材へと成長し続けることが大切だと思っています。リーダーが自分を伸ばす努力を怠れば、その下の組織も同じように力を失ってしまう。そうならないよう意識しています。

忽那様

ウェルビーイングを軸に組織を多面的な「球体」でとらえる

AXIS堀場
組織をリードする上で、忽那様が大切にされていることは何でしょうか。

忽那様
メンバー一人ひとりが「幸せだ」と思える取り組みを、多面的に行うことです。これは組織が100名を超えた頃から意識するようになりました。メンバーにとって面白い案件とは何か、懇親会は開いた方がいいのか、どんな働き方が良いのか、考えるべきことは山ほどあるのですが、それぞれが点でしかないのですよね。

むしろ大事なのは、それらの要素を多面的に“表面張力”で保つこと。そのために注目したのがウェルビーイングです。EY全体でも重視されていますが、TSTではそれをSocial(社会)、Community(コミュニティー)、Physical(身体)、Financial(経済)、Career(キャリア)の5つに具体化しています。

どれか1つがフィットする人もいれば、そうでない人もいる。組織が大きくなるほど、多面的にとらえていかなければ、一つ一つの点がつながって球体にはならないのです。

AXIS堀場
それは点と点をつなぐのではなく、球体なのですね。

忽那様
そうですね。メンバー一人ひとりによって好みも違いますから。懇親会1つとっても、飲み会を好む人もいれば、ランチ会やオンラインでの交流を望む人もいます。すべてのニーズに応えようとすれば、大きな球体で包み込むような取り組みが必要になります。ただ、それは簡単ではなく、終わりもなく、挑戦し続けることだと思っています。

AXIS堀場
ここまで忽那様のキャリアを振り返ってきましたが、最後に、これからキャリアを築いていく方々にぜひ伝えたいメッセージがあればお願いできますか。

忽那様
私が伝えたいのは、もし今この企業に転職したら、自分がやりたいことや「こんなことができるのではないか」という可能性に、しっかり目を向けてほしいということです。最初は好奇心で構わないと思います。

私自身もこれまで3回転職しましたが、それぞれの企業で「ここにいたら得られないことを得よう」と思って動いてきました。その積み重ねが今の自分をつくっています。だから失敗だと思ったことは一度もありません。大事なのは、まずはやってみること。「やるぞ」と思って選択して得られるものは、たとえ「違ったな」と思う結果になっても、やらないより確実に大きい。そうした挑戦を通じて、ぜひ未来の可能性を広げてほしいと思います。

忽那桂三 様 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社のテクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーションユニットをパートナーとして率い、テクノロジー活用によるビジネス変革において社会に貢献する役割を担う。

2015年にパートナーに昇格。20年以上テクノロジー領域のさまざまな業務に従事してきた経験を生かし、テクノロジー変革のプロフェッショナルとしてEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社のサービスの品質監査を担当。

米国セントラルワシントン大学において理学士号を取得。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、戦略的なトランザクション支援を提供する「ストラテジー・アンド・トランザクション」と、変化の激しいデジタル時代にビジネスの変革を推進する「コンサルティング」の二つのサービスラインを擁するEY Japanのメンバーファームです。業種別の深い知見を有するセクターチームとともに両サービスラインがコラボレーションすることで、より高品質なサービスの提供を目指すとともに、社会に長期的価値を創出します。

アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティングは、コンサル業界に精通した転職エージェント。戦略コンサルやITコンサル。コンサルタントになりたい人や卒業したい人。多数サポートしてきました。信念は、”生涯のキャリアパートナー”。転職のその次まで見据えたキャリアプランをご提案します。

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