デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 GRAチーム インタビュー/日本企業の新時代のターンアラウンドを実現するプロフェッショナル集団-GRAの挑戦と魅力

再生アドバイザリーの枠を超え、日本企業の新時代のターンアラウンドを実現するデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 (以下、DTFA)のグローバルリストラクチャリングアドバイザリー(以下、GRA)チーム。再生有事対応だけでなく、その先の成長までを視野に入れた包括的な支援で、業界最大規模のプレゼンスを確立しています。
「やり切る力」を軸に、財務面での支援にとどまらず、売り上げ向上を実現する事業変革まで一貫してサポート。多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが結集し、日本企業の競争力強化に貢献しています。
今回は、GRAチームのマネジメントを担われているパートナーの宮原智也様と稲川直樹様に、再生アドバイザリーの最前線で培われた独自の組織作りや、人材育成の取り組み、多様なケイパビリティを生かした総合支援の実績、そして日本企業の未来に向けた思いについてお話を伺いました。
※2025年4月時点での内容です
Index
多様なキャリアが交差する-異質な専門性のシナジーによる新たな挑戦
アクシス
まずはご経歴からお伺いできますか。
宮原様
私は大学卒業後、都市銀行に入行し、数年後に会計系のBig4の再生チームに転職しました。それ以来、再生アドバイザリー一筋です。10年前にデロイトに入り、7年ほど前に有志でGRAチームを立ち上げました。
その後、再生部門の統括職を経て、現在は産業機械・建設・エネルギー部門の統括を務めています。日々の仕事としては継続して再生アドバイザリー業務が中心で、クロスボーダー案件への関与が多いことも個人的な特徴でしょうか。
アクシス
現職に転職された背景についても教えていただけますか。
宮原様
この後お話しするチームの在り方にもつながるのですが、私は再生アドバイザーを20年以上やっていますが、クライアントやステークホルダーから要求される内容は年々進化・高度化を求められており、その1つとして、もう10年以上前から「コンサルして終了」ではなく、「結果を出す」ところまでハンズオンで支援をやり切れるかどうかを問われるようになっています。
その中で、デロイトでは10年ほど前にチーフリストラクチャリングオフィサーサービスというサービスを提供するチームが立ち上がりました。有事局面を中心に暫定的なマネジメントの派遣を行い、必要な対応をハンズオンで支援するもので、私はこのコンセプトに強く共感し、DTFAへ転じるに至った次第です。
アクシス
稲川様のご経歴についてもお伺いできますか。
稲川様
新卒で事業会社に入社し、財務・経営管理を経験した後、コンサルティングファームに転職し、コンサルとしてのキャリアは約25年にわたります。前職までは成長戦略・新規事業などの戦略コンサルティングやマーケティングやDXに取り組んできました。6年ほど前にデロイトに入社して、DTFAのターンアラウンド&リストラクチャリング部門(以下、T&R)のGRAチームにて主に事業再生の事業側責任者を務めています。
アクシス
現職に転職された背景についてはいかがでしょうか。
稲川様
私は常に2つの軸でキャリアを考えてきました。1つは面白さ。もう1つは、リアリティ。もちろんゼロ百ではありませんが、前職まではどちらかというと“面白さ”を追求する案件が中心でした。
その中で、次はもっとリアルな局面で自分の価値を発揮したいと考えるようになり、ちょうどその頃、かつての仲間がDTFAに在籍していたことから接点を持ちました。
最初は自分の専門性とは違う分野だと思っていたので迷いもありましたが、宮原から「そのユニークなキャリアこそが武器になる。若手のモチベーションも上がるのではないか」と言ってもらったことで最終的に背中を押されて入社を決めました。
従来型再生アドバイザリーを超える多様な支援-GRAチーム立ち上げの背景と使命
アクシス
GRAチームの立ち上げ背景や、そこに込められた思いをお聞かせいただけますか。
宮原様
再生アドバイザーとして現場に長年携わる中で、先ほど申し上げた通り、クライアント企業やステークホルダーから年々高度化して要求される内容に、私自身も、業界全体も応えきれていないのではないか、という課題認識を抱いていました。
そういう課題認識がある中で、大きなきっかけとなったのが、2010年代半ば頃から、それまで隆々たる大手企業が不祥事や突発的なインシデントをきっかけに一気に経営危機へと転じるケースが増えてきて、そうした局面で、最初に不正調査やリスクアドバイザリー部門が対応し、その後にわれわれ再生チームが登場するという、新たな再生業務提供のパターンが確立されはじめたことです。
ただ当時、DTFAは、ファイナンシャルアドバイザリーサービスのファームとしては既に業界最大規模だったものの、再生アドバイザリーチームとしては強くなく、当社の中でもある種のミッシングピースというような状況でした。メンバーも30名程度しかおらず、そういった大型案件をチーム単独で担うには限界がありました。そのため、他部門の力を借りて対応しており、いわば寄せ集め的なプロジェクトチームだったのです。
ただそれが、従来型の再生アドバイザリーチームにないバリュープロポジションにつながった部分があり、新たな再生アドバイザリーのチームのイメージを掴む大きなきっかけとなりました。私のような従来型の再生アドバイザーとは異なるバックグラウンドを持つ方たちが関わることで、より広がりのある新しい支援ができる。こうした仮説のもと、多様性を前提にしたGRAを立ち上げたのです。
GRAの立ち上げにおいては、従来型の再生アドバイザリーの世界から、最初から一線を画すポジションを目指し、具体的には2点を重視しました。1つは従来、ファイナンシャルドリブンだった再生支援業務を、それにとどまらぬ「ビジネスに力点を置いたチーム」にすること。もう1つは「企業の危機的な局面だけではなく、その前後で支援を提供する」こと。
採用も普通即戦力である経験者を集めるのではなく、今まで再生をやったことがない事業系のバックグラウンドの方や、ユニークな個性をもった“ツワモノ”的な方を中心に集めました。稲川がその代表例で、その意味で稲川はGRAの象徴的な存在だと思いますね。
アクシス
T&R全体の中でのGRAチームの位置づけを教えていただけますか。
宮原様
T&Rは現在210~220名ほどの体制で、業界でも最大規模です。その中でGRAチームは、大企業向けの再生有事対応やクロスボーダー案件をメインに担当し、もう1つのチームは、売り上げ100億円~1,000億未満のミドルラージクラスの会社を主なご支援対象とした中堅・中小規模の再生案件、及び、地方再生・創生などパブリック系の案件を扱っています。
両チームに共通しているのは、「実行支援」にこだわる点です。助言だけで終わらずに、変革を最後までやり切ることを大切にしています。
アクシス
GRAチームのミッションや組織の在り方についてお聞かせいただけますか。
宮原様
もともとは、再生・有事対応の領域でナンバーワンの実力とブランドを誇るチームになることでした。それは一定達成できたかなと思っております。今は“シンGRAの追求”として、次なる発展を図るフェーズに入っていると思っています。
再生アドバイザリーという枠を超えたチームの存在意義を追求しています。当社のコーポレートスローガン「日本のビジネスを強く、世界へ」が示す通り、日本企業がグローバル市場で勝利を収めるために、当社と私たちのチームが大きく貢献したいと考えています。
そのためは、チームの成長が不可欠です。OBの活躍も含めて、人材育成とプラットフォーム強化を一層推し進めていく必要があると感じています。
稲川様
そうですね。そして私たち自身も常に中身をアップデートし続ける必要があります。
たとえば、再生の現場で最初に求められるのはファイナンシャルクライシスの解決。つまり資金調達ですが、具体的には事業計画を作成し、金融機関とファイナンスの調整・交渉を行い、月次のモニタリングをする。しかし、それで終わっては真の再生とはいえません。
短期的には事業計画で定めた施策をやり切って数値計画を達成することですが、時代に合わせたビジネスモデルへのアップデートをして、人材や働き方なまでの変革をやり切れるかどうか。そこまで踏み込んで初めて「ターンアラウンド」が実現できると思っています。それは簡単なことではないからこそ、私たちが介在する意義があると考えています。
そして、どんなに厳しい状況でもお客さまに心から寄り添うこと。お客さまの多くは、非常に苦しい状況にあり、その中で私たちに高いフィーを託してくださる。その責任は非常に重く、覚悟を持って向き合わなければなりません。
だからこそ、プロジェクトの終わりにお客さまから「あなたたちは戦友でした」「この経験は一生忘れない」と言っていただけることが、何よりの喜びです。それが私たちの目指す、真のターンアラウンドだと思っています。
宮原様
まさにその通りで、何より大事なのは「真に再生する力」です。
従来の再生アドバイザリーは、火事が起きた時に駆けつける消防士のような存在でした。しかし火を消した後、まず家を普通に生活できる状況にまで整えること、それが果たせたら、必要に応じてリフォームしたり、さらには隣の敷地を買って拡張したりすることまでを支援していく。それが私たちGRAの在り方であり、ミッションだと思っています。
コストカットを超えて―成長戦略やM&A戦略まで支援
アクシス
実際にどのような案件を手がけていらっしゃるのでしょうか。
稲川様
私は主に、コンシューマー業界を中心に知名度の高い企業やブランドのご支援を多数手がけています。ほぼ全ての企業において業績は大きく向上しており、ターンアラウンドを実現できているといえます。
従来の再生案件では、足りない利益に対し帳尻合わせをするために、無理なコストカットやリストラに踏み込む場面が多かったのですが、私たちがご支援したケースでは、どの企業も売り上げ自体が上がっています。たとえば、ある外食チェーンでは、既存店売上高が前年比115%を記録したり、事業計画の目標利益を大きく達成するなど、目に見える成果につながりました。
もちろん、お客さまとの協業作業ではありますが、具体的な成果につながり、お客さまが自信を持てるようになったことを大変嬉しく思っています。
宮原様
本当にすごいチームだと思います。メンバーが従来の再生アドバイザリーの枠組みを超えて、当たり前のようにリアルな成果を出してくれている。若手も含めて、一人ひとりが主体的に動いており、私にできないようなパフォーマンスを発揮していることに驚かされることが多いですね。
稲川様
お互いに褒め合うようで照れますが、再生の現場は平時とはまったく違う経営の感覚が求められます。自分1人では限界がありますし、信頼できるパートナーがいるからこそ、責任を持って価値を出せていると実感しています。
アクシス
GRAでは、M&A戦略にも取り組まれていると伺いました。候補者からすると「M&Aは別のチームが担当するのでは?」と思われるかもしれません。
宮原様
確かにそう思われるかもしれませんが、再生の取り組みにおいてスポンサー導入のためのM&Aはつきものですし、再生を果たした後のフェーズにおいて成長目的のM&Aを支援するケースも多くあります。
通常のM&Aは、コーポレートファイナンスのチームが全体のハンドリングを担うことが一般的です。ですが、再生案件の場合、私たちがその前段階からクライアントに介入して実態把握や計画作成を行っているので、M&Aによるスポンサー探しも含め、プロジェクト全体を統括することが多いですね。
私たちはM&Aに特化しているわけではありませんが、再生案件を通じてM&Aの経験を積める点もGRAの特徴です。
「現地に赴き、リードする」──GRAが描くクロスボーダー再生の成功メソッド
アクシス
クロスボーダー案件の特徴についても教えてください。
宮原様
従来型の再生アドバイザリーは金融機関やPEファンドが案件を組成するケースが多く、また、比較的ドメスティックな案件が多かったかと思いますが、当社では、事業法人から直接に依頼されるケースや、クロスボーダー案件が多いことも大きな特徴です。海外で問題が生じている会社や事業の再生を直接依頼されることがとても多いです。これはGRAの強みというより、デロイトにいることによる強みという言い方が正確かと思います。
また、一般的なファームでは、日本のメンバーはリエゾンワークが主たるロールで終わるケースが多いですが、こういった事案では、本社と現地でコンフリクトが生じることがあるため、本社側で強力にリードする必要があります。
その支援をするため、当社では日本のメンバーが自ら現地へ赴き、メンバーファームと共同チームを組成して支援をしているのも特徴です。
そもそも、日本企業はなかなか海外子会社のガバナンスがうまくできてないことが多いため、なかなか簡単には本社のいうことを聞かせられません。
それに対して、親会社から直接依頼を受けているわれわれ日本のメンバーが赴くことで、しっかりと日本の親会社の方針を反映しガバナンスを再構築することができるようになります。また、デロイトの各国のメンバーファームが提供する業務の質を日本のレベルと同等に担保する意味合いもあります。
相当に先行してこういうクロスボーダー案件の取り組みを進めてきたことで、現在、実績・ケイパビリティは当社がナンバーワンではないかと思っておりまして、実際、直近で私たちが手がける案件の3〜4割がクロスボーダー案件です。若いメンバーにとっても非常にチャレンジングで、成長の機会が多いフィールドだと思いますね。
「お客さまに寄り添う姿勢」「オーナーシップ」「他者へのリスペクト」-3つの共通となる価値観で組織を束ねる
アクシス
御社の強みや、それを支える仕組みについて教えてください。
稲川様
私たちが取り組む案件の特徴としては、これまでお話ししてきた通り、「日本を代表するような大型案件」、「クロスボーダー案件」、そして「著名な企業・ブランドに対するハンズオンでのターンアラウンド案件」の3つといえます。いずれも難度が高く、深い専門性が求められるものばかりです。
こうした案件を支えるには、多様なケイパビリティを持った人材が不可欠。ただ、多様な人材を中途採用でそろえることはできても、どう組み合わせて機能させるかが極めて重要で難しいです。
再生はあくまで“有事”対応。状況の複雑さや求められるスピードは、平時とはまったく違います。その中で、多様な専門性を持ったメンバーが一体となって価値を出せるか。そこに私たちは徹底的にこだわっています。
アクシス
多様な人材を束ねるうえで、難しさはありませんでしたか。
稲川様
そうですね。最初からうまくいっていたわけではありません。価値観やバックグラウンドが異なる人材が集まると、当然ながらハレーションも生じます。私も宮原も、実際かなり苦労してきました。
そこで私たちが組織として明確に打ち出したのが、共通の価値観です。
「お客さまに寄り添う姿勢」「オーナーシップ」「他者へのリスペクト」という3つの軸を、宮原が何度も丁寧に言語化し浸透させてきました。この3つが組織に浸透したことで、チームとして一段階上のフェーズに進めたと実感しています。
大型再生案件・クロスボーダー・売り上げ向上のターンアラウンドを「A面の戦略」とするならば、3~4年前からは、「B面の戦略」として、タレントマネジメントに注力しています。コンサル未経験者や若手でも早期に戦力化できる仕組み、多様性を生かせる文化作りを進めています。A面(戦略・実行力)は他社でも打ち出せますが、B面がなければそれを実現することはできません。戦略と文化の両輪で設計・運営されている点が、私たちの強みです。
アクシス
実績面での信頼はどう築いているのでしょうか。
稲川様
結局、‟やり切った実績”があるかどうかに尽きます。特に私たちのビジネスは、金融機関からの紹介が多くを占めており、その際に「このファームは本当にやり切れるのか」「過去にどんな結果を出してきたか」という点が見られます。いくら多様な人材がそろっていても、実績がなければ選ばれない。それがこの仕事のリアルだと思います。
「人材育成力=競争力」-複雑な業務を乗り越える独自の実践的・体系的な研修プログラム
アクシス
ビジネス成長の背景には、やはりタレントマネジメントの工夫があったのでしょうか。
宮原様
そうですね。業界全体として「人の確保」は喫緊の課題であり、「人材育成力=競争力そのもの」だと強く感じています。
私たちも立ち上げ当初は手探りでした。再生は業務の幅が広く複雑なので、ある程度のベースがある方にとっては良いチャレンジでも、ビギナーには正直ハードルが高い。実際、若手からは「何から学べばいいのか分からない」「いろいろなことに触れられるけれど、身についている実感が持ちづらい」という声も出ていました。
そこで方針を転換して、ここ数年は「人材育成」に資源を集中させてきました。戦略や事業展開を進める一方で、組織の次のフェーズには人材基盤が不可欠だと考えたからです。
稲川様
そうした方針転換を踏まえて、今は「人材育成」に本格的に力を入れています。現在はDTFA全体で200以上の教育プログラムがあり、GRA独自でも月2~3回、年間20~30回の独自の研修を実施しています。
再生は“総合格闘技”ともいわれて経験豊富な人でないとできない業務と思われやすいですが、業務を細かく分解していくと財務や事業やPMなどの基本的な知識やスキルで構成されています。そこで、モジュール単位での研修や、階層別・シチュエーション別のプログラムを設計しています。
たとえば、「事業再生におけるPEST分析・SWOT分析」や「初めての事業再生のプロマネ研修」であれば、通常のPEST分析・SWOT分析や、一般的なコンサルティングのプロマネ経験者が、事業再生案件特有の特徴を踏まえて、その成功要因や落とし穴を経験豊かなリーダー陣がパネルディスカッションで語ったり、グループディスカッションしたりしながら他人のノウハウを学ぶ機会を提供します。根本的な違いや具体例にもとづき学ぶので極めて実践的です。また、研修チームも「どうすれば内容が定着するか」を常に考え、プログラムをブラッシュアップしており、そうした取り組みの結果、社内の満足度は非常に高い。私自身も、いろいろな人たちの太刀筋を見て、毎回本当に勉強になっています(笑)。
宮原様
稲川が申し上げた通り、「総合格闘技」と聞くとコンサル初心者の方は「自分には難しそう」と構えてしまうかもしれませんが、領域を細かく分解すればそこまでのハードルはなく、各領域に応じて研修も体系化しています。入社時に「どの分野を強みにしたいか」「どのスキルを磨きたいか」を自らいくつか選んでいただき、それに応じてアサインも極力調整します。
結果として、メンバーは2〜3の専門領域に加え、プロジェクトマネジメント力も備えたキャリアを築くことができていますね。
アクシス
そうした経験やスキルは、将来的に事業会社に転じたり、起業したりする際にも生かせそうですね。
宮原様
まさにそうです。GRAで培うスキルは、社内だけで完結するものではなく、どこへ行っても通用する“ポータブルスキル”だと考えています。
まずは、新卒・中途問わず、「正しい基礎をきちんと学ぶ」ことを重視しています。体系立てて学ぶことで、一流のビジネスパーソンとしての素地をしっかり身につけていただく。だからこそ、早い段階から力がつき、将来のキャリアの選択肢も自然と広がっていくのだと思います。
再生業務から得られるものは、もちろん個別具体のスキルや知見もありますが、究極的に価値あるものは、複雑で困難な状況や、制約やプレッシャーのある中で、周囲を適切にレバレッジしながら、利害調整も行って乗り切る力です。まさに経営そのものにおいて求められるものが凝縮されています。そこで得られる経験は職業人としてかけがえのない財産になると思いますし、どんな進路に進んでも必ず役立つはずです。
また、幅広いドメインに接し、統括する仕事でもあるので、次のキャリアがいろいろ展望できる、次のキャリアのオプションが広くなる部分もあるかと思います。
上席者が“前面でメンバーを守る”カルチャー
アクシス
続きまして、ワークライフバランスや子育ての両立について、どのように考え、取り組まれていますか。
稲川様
育休の取得は今では男女問わず当たり前になっていて、特にマネジャークラスはほぼ全員がしっかりと取得しています。
ただ、子育て中のマネジャー、シニアマネジャーにとって、仕事と家庭を両立するのは決して簡単なことではありません。これは私たちだけでなく、業界全体が抱える構造的な課題だと思っています。だからこそ、個別のケースに合わせて、工夫しながら仕事の在り方を一緒にデザインすることが大切だと思っています。
たとえば、産休・育休から復帰した女性マネジャーには、ご本人の希望に応じてクライアント案件を外し、労働時間も調整しました。「どうあるべきか」ではなく「今どう働きたいか」を軸に考えるのが、私たちのスタンスです。
また、若手のメンバーから「復帰後すぐにバリューを出せるか不安」と相談を受けた際には、「今は無理にバリューを出そうとしなくていい。一緒に新しいキャリアを考えていこう」と伝えました。あえてプロモーションを見送り、焦らず“キャリアの踊り場”として、本人のタイミングに合わせてステップを踏んでいく。そうした柔軟な設計が大事だと思いますね。
宮原様
やはり、これだけライフスタイルが多様化している中で、「快適な働き方」は本当に人それぞれなのですよね。だからこそ、チームとして一義的なルールを設けるのではなくて、プロジェクトの立ち上げ時にメンバー同士で話し合って、出社日やタッチポイントの時間を柔軟に決めるようにしています。
もう1つ大事にしているのは、上席者が「対クライアントでメンバーを守る」というスタンスを徹底しているところです。もちろん、お客さまの期待に応えるのは大前提ですが、メンバーの心身の健康とのバランスをどう取るか、それを上席者が責任を持って考える、クライアント対応においても全面に出るようにしています。
アクシス
実際のマネジメントの中で、どのように“守る”ことを実践されているのですか。
宮原様
たとえば私の場合、「まずは教えてあげる」ことを大事にしています。最近では「本人に考えさせる」ことが重視されがちですが、私はコンサルタントしてスタートを切ったばかりのメンバーには、まずはどんどん教えてベースをしっかり与えて、そこから考える段階に進んでいただくのが良いと考えています。そうすることで、より早く成長できると考えています。このスタイルは、結果的に働き方改革にもつながっていると思いますね。
稲川様
そうですね。宮原は特に財務面でのサポートはかなり具体的なところまで丁寧に教えているし、で、教えるだけでなく、実際に自分で手を動かしています。たとえば「この作業を任せたら3時間かかるな」と思ったら、自分からその時間を取ってあげる。そうやって、プロマネが詰まっているところに自然と入り込んで、仕事を“減らしてあげる”。この積み重ねって、実は非常に大きいと感じています。
宮原様
もちろん、これは「ただの優しさ」でやっているわけではなく、われわれがビジネスをやるうえで経済合理的にも意味があると思いますね。
日本企業や地域経済を元気にしたい、共通の思いから集まるプロフェッショナル集団
アクシス
あらためて、チームメンバーにはどういったバックグラウンドの方が多いのでしょうか。
宮原様
本当に多様なメンバーがそろっています。私のような銀行・ファイナンシャルアドバイザリー出身もいれば、稲川のような戦略・ビジネスコンサル出身、会計士や事業会社出身もいます。他にも大手自動車メーカーで製造オペレーションに従事していた人や、外国籍のメンバーも多いです。ファーム全体でのマルチケイパビリティはどこのコンサルファームも唱えていると思いますが、1つのチームとしてこれだけ多様なケイパビリティが集まっているのは、珍しいと思いますね。
アクシス
どういった経緯でご入社されることが多いですか。
稲川様
事業会社からキャリアアップを目指して来られる方や、他のコンサルティングファームから、よりお客さまに近い支援を求めて来られる方が多いです。共通しているのは、「日本企業や地域経済を元気にしたい」という思いを持っていること。私たちの価値観に共感し、最終的に入社を決めてくださる方が多いです。
宮原様
他にも「再生をやりたい」という方はもちろん、「クロスボーダーをハンズオンでやりたい」といった方や、将来経営に携わりたいと考えている方もいます。“手触り感”のあるコンサル、アドバイザリーの仕事を求めている方が多い印象です。
アクシス
では、最後にお2人からメッセージをお願いします。
稲川様
私たちが大事にしているのは、「お客さまに寄り添う姿勢」「オーナーシップ」そして「他者へのリスペクト」の3つです。この価値観に共感できる方と一緒に働きたいですね。
私たちの組織は、よく“料理の材料”のようなものだと思っていて。価値観は同じでも、知識や経験は本当に多様なのです。だからこそ、いろいろな個性やバックグラウンドを組み合わせることで、新しい価値を生み出せる。1人で完結する必要はなく、自分の「色」を持ち込んでくださる方、そして、その色を一緒に形にしていける方に来てほしいですね。
宮原様
まったく同じ思いです。うまくいっている方に共通しているのは、学び続けようという姿勢と、自分の役割をチームや仕事の中に見いだせる力。つまり、このチームで働く意味を自分なりに理解できる方は、自然と成長していきますね。
あとは、異なる意見や背景を持つ方へのリスペクト。むしろ「自分と違うからこそ面白い」と思うことができて、「自分と違う人をうまく利用できる」ある種のプロデューサー感覚のある人に非常にフィットするチームではないかと思います。周りがやっていることに興味を持つ、それにいい意味で絡んでいこうとすることがわれわれのチームでは非常に良いことで、そういう人が伸びていく印象がありますね。

金融機関、会計系コンサルティングファームにおいて、20年以上にわたる豊富な事業再生やM&Aの実務経験を有する。
2015年よりデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に参画し、グローバル大手企業のクライアントを中心とする有事局面における危機対応・リストラクチャリング支援、業績不振海外拠点の再生・再構築支援、ハンズオン型支援に従事している。

複数の米系コンサルティングファームを経て、2019年よりデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に参画
過去25年にわたり、消費財・小売・観光・物流業界を中心に、事業再生・ハンズオンバリューアップ・事業戦略・新規事業開発・事業計画策定・マーケティング・投資戦略など幅広い領域に従事している。

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーは、ファイナンシャルアドバイザリーファームとして最大級の陣容と、国内外のネットワークで企業の経営課題を把握し、迅速かつ的確なソリューションを提供します。

アクシスコンサルティングは、コンサル業界に精通した転職エージェント。戦略コンサルやITコンサル。コンサルタントになりたい人や卒業したい人。多数サポートしてきました。信念は、”生涯のキャリアパートナー”。転職のその次まで見据えたキャリアプランをご提案します。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の求人情報
募集職種 | 事業再生系アドバイザリー |
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職務内容 | ◆ここ5年で約25%のCAGR(年平均成長率)で継続的に成長しており、事業再生アドバイザリー国内No.1の規模と実績 |
応募要件 | 【マインドセット・キャリア志向】 【スキルセット(概括)】 |