KPMGコンサルティング Operations Strategyチーム インタビュー/戦略を実装し、テクノロジーにつなぐ「ビジネス・業務改革」で勝負。ビジネスモデル変革から業務改革まで徹底支援

KPMGコンサルティング株式会社(以下、KC)のOperations Strategy(以下、OS)部門は、戦略を実装し、テクノロジーにつなぐ「ビジネス・業務改革」に特化し、「戦略立案止まり」でも、「大規模システムインテグレーション(SI)重視」でもない、ビジネスモデル変革から業務改革までを実現するポジションを確立しています。
グローバルサプライチェーン再編やサステナビリティ対応など、変化する経営課題に対して「クライアントごとに、そもそもあるべき姿は何か」といった段階から実現に至るまでの伴走支援を行っています。
また、コンサルタントの原点ともいえる「クライアントファースト」の価値観を貫き、売上至上主義に陥らず顧客価値を追求する姿勢が、多くのクライアントから高い評価を獲得しています。
今回は、OS部門を率いる執行役員 オペレーションストラテジー統轄パートナー の坂田英寛様に、ビジネス・業務改革を軸としたビジネスの概要、具体的な支援事例、組織文化の特徴、さらには求める人物像まで、幅広くお話を伺いました。
※2025年8月時点での内容です
Index
ゼロから理想の組織・サービスをつくれる環境に惹かれて入社
アクシス
まずは、坂田様が御社に入社された背景を教えていただけますか。
坂田様
大手コンサルティングファームで20年以上、サプライチェーン改革や事業再構築などに携わってきました。私がKCへの転職を決めたのは2014年、KCが組織再編により再スタートを切るタイミングで「立ち上げから一緒に挑戦しないか」と声をかけていただいたことがきっかけです。
一般的に、コンサルティングファームにはそれぞれ長い歴史があり、その過程で構築されてきた組織体制や固有のカルチャーがあります。それは時の洗礼を経て今に至っているわけで、もちろん優れた面もありますが、改めてゼロベースで、自分のフィルターを通して見たときに、「それがクライアントにとって本当に最適か」「コンサルタント一人ひとりが自分らしく生き生きと働ける環境か」といった点でコンフリクトが生じているように感じる場面もありました。
その点、当時のKCの再スタートは、クライアントをはじめ、社員にとってもより良い組織やカルチャーをゼロから構築する貴重な機会だと感じました。理想的な組織やサービスの在り方を、自分たちの手で形にできるかもしれない。その可能性に強く惹かれ、参画を決意しました。

OSはKCのビジネス・業務改革の本丸。バリューチェーン全体をEnd to Endで支援
アクシス
続いて、KCの中で、OS部門にはどのような役割やミッションが期待されているのでしょうか。
坂田様
当社は、インダストリーごとにクライアントを担当するセクター組織に加え、ストラテジー、ビジネストランスフォーメーション、テクノロジー、リスク&コンプライアンス、イノベーションのソリューションごとの組織で構成されています。OSは、ビジネストランスフォーメーションに属し、ビジネス変革、業務改革を中核としてストラテジーとテクノロジーをハーモナイズして、クライアントの変革を実現する役割を担っています。
その中で私たちは、セクターと連携しながら、まずクライアントのビジネス機会の創出を支援し、その後、企業・事業戦略を実現するための構想策定から、業務や組織のデザイン、テクノロジー活用(テクノロジーチームとコラボレーション)、変革の実現までを一気通貫でご支援しています。
アクシス
ある意味、ハブのような役割も含まれているということですね。
坂田様
そうですね。OSは、バリューチェーン全体が対象領域となり、サプライチェーン全体や、設計から製造までをカバーするエンジニアリングチェーンが主な対象となります。
具体的には、ビジネスモデル変革やサプライチェーン戦略、調達戦略といった戦略策定からスタートし、その戦略を実行に移すために、組織の仕組みや業務プロセスをデザインしています。そして、実際の変革まで伴走する。つまり、クライアントの事業パフォーマンス向上そのものが、私たちOSのミッションです。
企業戦略・事業戦略を実装し、テクノロジーにつなぐ「ビジネス・業務改革」でポジションを確立
アクシス
サプライチェーン領域において、他のコンサルティングファームも戦略からテクノロジー領域まで幅広くポジショニングを取られている印象があります。その中で、御社の強みはどのような点にあるのでしょうか。
坂田様
KCは一貫して「ビジネス・業務改革」をビジネスの中核に据えています。マーケット全体を見ると、戦略系コンサルティングファームは戦略立案を強みにしつつ、業務改革やテクノロジーにも手を広げていますが、軸足は戦略側にあります。一方、総合系コンサルティングファームは事業規模拡大方針のもと、大規模なSIプロジェクトを拡大する傾向が強くなっています。
他社が領域シフトする中、KCは戦略とテクノロジーの中間にある「ビジネス・業務改革」中心に拘り続けている点が大きな特徴で、差異化につながっていると考えています。
また、単に戦略の絵を描くだけでも、言われたものをつくるだけでもありません。私たちは戦略の実行・KPI達成まで橋渡しし、実際のビジネス・業務改革を成し遂げることに拘っています。この点には確固たる自信と誇りを持っています。
アクシス
その中で、クライアントから評価されるポイントはどこにあるのでしょうか。
坂田様
クライアント視点に立って、クライアントとKCの役割分担も含め最適なプロジェクト体制を組成し、誠実さを持って推進できるところだと思います。私たちが大切にしているビジネスドメインそのものが差異化要因となっており、その姿勢が選ばれる理由につながっていると感じています。
「課題感はあるが対応方針が不明瞭」という経営課題に対して、ビジョン策定から実行まで支援
アクシス
現在、クライアントから寄せられる課題や相談内容にはどのような傾向がありますか。
坂田様
テーマはさまざまですが、「システムを導入したい」といった実行フェーズのお話よりも、もっと上流のあるべき姿を策定する段階からご相談をいただくケースが多いですね。
たとえば、サプライチェーン領域では、最近の自国第一主義の流れを受けて、関税引き上げや政策変更などでサプライチェーン競争力やレジリエンスにリスクが懸念されています。これまでグローバルに長く張り巡らせていたサプライチェーンを、複線化したり、リージョン化を織り込んだりなど、より強靭な形に再構築するにはどうすべきか。そうした課題についてご相談をいただくことが増えています。
また、日本国内の人口減少や採用難といった構造的な課題やAIに代表される破壊的テクノロジーの出現を背景に、「今後どんなオペレーションモデルに変えていくべきか」という組織面のご相談も多いです。
さらに、サステナビリティ対応のご相談も増えています。多くの場合、開示対応やGHG(温室効果ガス)排出削減といったテーマはKCではSustainability & Risk Transformation(SRT)部門やSocial Value Creation(SVC)部門が中心になりますが、私たちOSには「実際のビジネスとしてどうあるべきか」を問われるケースが多いです。どんなサステナブルなビジネスモデルを描くべきか、そこに合ったオペレーションやサプライチェーンモデルをどう構築するか、といった課題です。
ほかにもインフレによる物価上昇への対応についてもご相談を受けるなど、外部環境変化を起点とした案件が増えている印象です。
アクシス
クライアント自身が課題感やリスク感がありながらも、どう対応していくべきか不明確な段階からご相談されるケースが多いのですね。
坂田様
おっしゃる通りです。何か決まったプランを実行するというよりも、「今後どうあるべきか」という改革のビジョンをつくるところから入る案件が、ほとんどです。
アクシス
実際に、OSの強みが活きた案件にはどのようなものがありますか?
坂田様
たとえば、あるクライアントの複数ある事業のうちの1つを対象に進めたプロジェクトがあります。まず取り組んだのは、その事業をどう成長させるべきかという方向性の検討です。社内での位置づけや役割を再定義し、事業性や収益性を評価するところから始めました。
その上で、方向性を決めるだけでは実行につながらないため、成長と収益性向上に向けた具体策を検討しました。サプライチェーンオペレーションの変革、需要予測や需給計画の精度向上、事業リスクに対するアクションプランの設計などを実施。これら一連の取り組みを事業計画や財務成果に結びつけるといった、戦略から実行までを一気通貫で支援しました。
アクシス
ほかにも具体的な事例はありますか。
坂田様
サステナブルな事業運営への転換をテーマにした案件もあります。世の中の潮流として、企業には人権問題に配慮したサプライヤー選定や、森林破壊や水資源の浪費を避ける取り組みが求められています。こうした背景のもと、資源を循環させる「サーキュラーエコノミー」をどうビジネスとして実現するかを議論しました。
一般的には「エコ素材を使う」「リサイクルしやすい設計にする」といった対応がイメージされがちですが、それだけでは不十分です。製品を使用後に回収し、再び市場に出せる仕組みまで整えないと、本当の意味でサステナブルなビジネスモデルにはなりません。
そこで、売り切り型モデルから所有権を移転しない利用型モデル(月額課金など)への移行、回収品を再販できる流通網の整備、再販する市場やチャンネルの選定、回収した製品の修理・認証プロセスの構築、さらには営業の評価制度や事業の収益評価の仕組みまで、全体を抜本的に再設計しました。このように、ビジネスモデルの変革からオペレーション、評価制度の見直しまでを含めた一連の実行支援に取り組んだ事例もあります。

「クライアントにとって良い仕事をすること」を優先し、長期的な関係を築く
アクシス
2014年のご入社以来、オペレーションストラテジー領域をリードされてきた坂田様にお聞きします。御社の魅力はどのような点にありますか。
坂田様
1番の魅力は、やはり「お互いをリスペクトし合えるカルチャー」ですね。
当社はもともと、みんなが「初めまして」の状態からスタートし、「新しい理想の組織を一緒に立ち上げていくんだ」という思いを持って集まってきたメンバーばかりです。だからこそ、自然と協力し合い、コラボレーションしながら会社をつくり上げてきた歴史があります。
また、会社方針としてもKCファンをつくることを大きく掲げて取り組んでいます。このため、KCでは「自分のチームのパフォーマンスがどうか」「自分の数字がどうか」よりも、まずクライアントを中心に置く文化が根付いていると感じます。クライアントにとって本当に正しい解決策は何かを第一に考え、より良い仕事を提供するという価値観が強く打ち出されているのが、この会社の大きな魅力だと思います。
アクシス
御社の価値観として、「売上至上主義ではなく、利益をいたずらに追わず、顧客貢献を最優先にする」という印象を持っていますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
坂田様
まず誤解してほしくないのは、私たちが「売上を伸ばさなくてもいい」「成長しなくてもいい」と考えているわけでは全くないということです。むしろ、世の中が複雑化し、クライアントから求められるテーマや課題が増加、複雑化する中で、クライアントの要望にしっかり応えていくためには組織として成長していく必要がありますし、コンサルタント一人ひとりも新しい挑戦を重ねながら健全にステップアップしていくことが大切だと思っています。
ただ、最も重要なのは「クライアントにとって良い仕事をすること」です。そこを第一に置くからこそ、「いたずらに売上や利益を求めない」という考え方、クライアントへのKPMGブランドとしての約束を実現する健全な成長が大事なのだと思います。
たとえば、数十億円規模のオポチュニティがあったとしても、クライアントにとって最適な解決策が数億円規模の提案であれば、私たちは迷わずそちらを選びます。その方がコストや期間の面でもクライアントにとって価値があり、結果として長期的な信頼関係を築くことができる。そうしたスタンスを徹底しているのが当社の特徴だと思います。
アクシス
改めて、坂田様にとって「良い仕事」とは何でしょうか。
坂田様
一言で表すのは難しいですが、私は企業を「社会の中で1つの独立した人格」と捉えています。その企業に関わる従業員、株主、サプライヤー、顧客など、すべてのステークホルダーにとって「価値がある成果」を生み出していくこと。特定のステークホルダーではなく、企業に関わるすべての人たちが喜んでくださる成果を出すことが正しさだと考えています。
同時に、当社側に目を向ければ、プロジェクトを通じてメンバー一人ひとりが、「クライアントの成功に貢献できた」ことに喜びを感じられること、「ストレッチできた」「スキルを身につけて成長できた」と、自己実現に近づくことを実感できることも重要です。クライアントにとっても、私たちにとっても価値のあるプロジェクトが「良い仕事」だと思いますね。
新サービス、新チーム立ち上げの挑戦機会が豊富
アクシス
キャリアの観点からもお伺いしたいのですが、他のコンサルティングファームのマネジャーやシニアマネジャークラスの方が御社に転職される場合、どのような魅力があるとお考えでしょうか。
坂田様
当社はこれまでお話しさせていただいたように、ビジネスドメインやカルチャーの面で他社と差異化されています。KPMGインターナショナルから売上目標が設定されることも、プロモーション枠が決められることもなく、我々で何が正しいのかを決められることや、相対評価ではなく絶対評価でプロモーションすることなど、コンサルタントにとってその本分に注力できる良い環境であると確信しています。
それに加えて、他社において現在もプロジェクトで活躍されてやりがいや成長実感されているかと思いますが、次のキャリアを意識したときに「自分がやりたいビジネスを自分の手でつくる」という経験ができるかというと、環境的に難しいケースもあります。当社はまだまだホワイトスペースが多く残っています。自分で新しいサービスを立ち上げたい、新しいチームをつくっていきたい、という方にとってチャンスの多い環境です。自らビジネスのリーダーとしてチャレンジしたい方にとっては、非常に魅力的だと思います。

求める人物像は、志と情熱を持ち、業務×テクノロジーに素養のある人
アクシス
最後に、ご入社いただきたい方に関する点もお伺いできればと思いますが、パーソナル面、スキル面の観点でいかがでしょうか。
坂田様
一番大事なことは「志」と「情熱」です。コンサルタントの仕事はプロフェッショナルとして知識や知恵、経験やスキルで価値を提供する究極のサービス業です。クライアントからの高い期待に応える必要があり、決して楽な仕事ではありません。志と情熱があるからこそ、クライアントに真に向き合い、変革実現まで伴走できると考えています。
スキル面では、戦略面でのスキルを持ちながらビジネス・業務改革に織り込んでいくこと、そしてテクノロジー含めた実現が必須ですので、メインビジネスであるビジネス・業務改革に取り組まれてきた方、戦略、テクノロジーにも経験、関心や素養がある方、または今後積極的に身につけたいという意欲を持った方を歓迎します。
そして、お話ししてきた通り、私たちの会社は、ビジネスドメインやカルチャーの面でも他のコンサルティングファームと少し違った特徴があります。そこに共感し、「自分も同じ思いで挑戦したい」と思える方にぜひ来ていただきたいですね。
アクシス
たとえば、SIer在籍者で「コンサルティング業界でチャレンジしたい」「ITの構想策定だけでなく、業務の構想策定にも携わりたい」という方もいらっしゃいますが、そういった方も挑戦できますしょうか?
坂田様
もちろんです。SIerやテックカンパニーでクライアントと向き合い、課題解決に取り組んできた方は、その経験がしっかり土台になっています。テクノロジー全盛時代の中、テクノロジーを活用しないビジネス・業務改革はほとんどありません。そうした素養を活かせる環境があり、経験豊富な先輩や体系的なトレーニング体制も整っています。ぜひ思い切ってチャレンジしてほしいですね。
アクシス
では最後に、この記事を読んでいる方々にメッセージをお願いします。
坂田様
私たちの仕事は、究極のサービス業です。決まったマニュアルや製品があるわけではなく、自分自身のケイパビリティや志、情熱が、そのままクライアントへのサービスに直結する仕事です。だからこそ、やりがいが非常に大きい一方で、自己研鑽や継続的な努力が欠かせません。でも、その先には、自分のカラーを活かした、自分だけの仕事を生み出せる瞬間があります。
私たちの思いに共感し、志を高く持って情熱的に挑戦してくださる方と一緒に未来をつくっていきたいです。

大手コンサルティングファームにおいて、サプライチェーン改革支援や事業再構築から経営管理・会計まで、約20年以上にわたり戦略・改革構想策定からテクノロジー導入までのコンサルティング経験を豊富に有し、本業のパフォーマンス向上をテーマとしたプロジェクトを得意分野とする。2014年にKPMG入社後は、サプライチェーン、オペレーション改革を主軸に、さまざまな業界に対してグローバルサプライチェーン改革、経営高度化、DXをテーマとした改革支援を行っている。「日経ムック BCP4.0 次代のレジリエンス経営」(日経BP、2021年)を一部監修。

グローバル規模での事業モデルの変革や、経営管理全般の改善をサポートするコンサルティングファーム。具体的には、事業戦略策定、業務効率の改善、収益管理能力の向上、ガバナンス強化やリスク管理、IT戦略策定やIT導入支援、組織人事マネジメント変革などを提供しています。世界142ヵ国のメンバーファームに約275,000名のプロフェッショナルが在籍。
参考URL:https://kpmg.com/jp/ja/home/about/kc.html

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| 職務内容 | ◆チーム紹介 【Operations Strategyグループの人員構成】 【関連する記事のリンク】 ◆職務内容 これまでのグローバルでの業務とシステム変革のご経験を活かしつつ、今後は、クロスボーダー事案に特化した規制対応や事業統合などクライアントの経営課題に対して、KPMGグローバルの先進的なソリューションや方法論をレバレッジして課題解決を推進されたいという志向をお持ちの方の応募をお待ちしています。 【具体的な案件】 大手製造業 / グローバル経営基盤改革 大手製造業 / グループエンジニアリング競争力強化 |
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