現役スタートアップCxOも副業中。│アーリーフェーズで兼業するOさん(30代)にインタビュー

現役スタートアップCxOも副業中。│アーリーフェーズで兼業するOさん(30代)にインタビュー
スタートアップ創業者の右腕として活躍できる副業CxOを通じてスタートアップ企業に副業として携わるOさん(30代 : 仮名)にインタビューを行いました。

急成長スタートアップA社の最初期メンバー、そして現在も現役のCxOとしても活躍するOさん。現職とは異なるアーリーステージのスタートアップB社にて副業中。

若いフェーズのスタートアップに戻って得られた刺激、そして俯瞰できるようになったキャリア観について伺いました。


現役CxOも副業する副業CxO

―― スタートアップ業界では名前をよく聞くA社の創業メンバーでCxOでもあるOさんが、副業CxOを通じて副業を始められたと聞いた時は驚きました。 

これまで勤めてきたA社は創業初期から携わっていますが、アーリーフェーズのスタートアップって本当に楽しいです。 

しんどいことも少なからずありますけれど、社内の活気に満ちた感じや、0→11→10くらいをつくっていく感覚がやっぱり楽しいです。副業でもそのような経験ができるなら面白そうだなと思い、始めてみました

―― Oさんは転職を見据えて副業CxOを始めたのでしょうか。

いいえ、転職を視野に入れて副業CxOを始めた訳ではないです。それでも、たとえフルコミットという形でなかったとしても、絶対何かしらスタートアップの力になれると思ったのです。

―― Oさんはこれまでもスタートアップを何社か経験していると伺っています。 

そうですね。組織崩壊を起こしたスタートアップだったり、コロナ禍で一気に事業が停滞してしまったスタートアップだったり、酸いも甘いも経験しました。

その中でいろいろなスタートアップ起業家と話しましたが、起業家って思いが強い方が非常に多いですよね。そんな人たちがつまずいてしまうのは、「もったいないな」と感じます。

本当に予期できないトラブルはしょうがないですが、まさかの落とし穴にはまってしまうことが実はよくあります。そこは止められると良いなと思っていました。

CEOの熱狂に”本気”で向き合う

―― 具体的にどのように知見をスタートアップにシェアしているのか、教えてください。 

PMF* を確信する直前の手応えや、PMFを確信した後に一気にユーザーを獲得しにいくあの感覚を知っている自分の経験は非常に貴重です。それを後続のスタートアップに対して役立てられているという感じはあります。

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*PMF (Product Market Fit) … 自社のプロダクトがその市場の課題解決に資することが客観的に明らかな状態。初期のスタートアップや新規事業の立ち上げにおいて達成すべき重要な指標とされる。

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他にも事業計画の作り方なども、私が少し先に進んでいるスタートアップだからこそできる関わり方があります。

シードの資金調達をする時にプレシリーズAの資金調達を意識できているか、プレシリーズAの資金調達をする時にその次のシリーズAの資金調達をイメージできているか、はかなり大切です。

もちろん、現実は大きく揺れ動くものですから、理想通りにはいきませんが、次のラウンドの視野を持ちながら今のラウンドを動くということ自体は最低限求められると思います。そうした知見はお伝えできているという自負はあります。

――事業計画の作成にあたっての起業家とのコミュニケーションの様子を詳しくお聞かせください。

大きく分けると3つのことを意識してコミュニケーションを取っています。

まず1つ目は大前提として、どんなに若いラウンドでもしっかりと事業計画を引いた方が良いということはお伝えしています。その起業家がどれくらい先の未来まで考えているかがすぐ分かりますから。

繰り返しになりますが、将来的中している必要はなくて、こう伸ばしていきたいという意思表示になるので事業計画をしっかり作り込むべきですね。どういう意思決定をしたいのかを形にする、ということと同義だと思います。

2つ目は差別化戦略を取れているかです。初期スタートアップの事業は、特別な技術に基づいたものでない限り、後発が模倣できる事業ですよね。そうなった時に、競合優位、MOAT(事業障壁)をいかに築くかをもっと詰めないといけないですね。これが、起業家だけで作ると、どうしても客観性がなかなか作りづらいところですね。

起業家の気持ちももちろん分かりますが、投資家も言ってしまえば金融機関ですから、現実的な戦略を作るべきです。

そして最後は「起業家がどこまでやるか」という話ですね。

起業家が時間をかけて大型案件を12件獲得できれば、確かに投資家から良い評価が貰えるはずではありますが、そのスピード感で本当にやって行くのか。あるいは事業の再現性を作れているのか。そうした点は気になります。投資家の意見は半分聞きつつ、半分は持論を貫くくらいの感覚が良いのではというような話し合いを普段からしていますね。 

―― ここまでスタートアップに対してしっかり踏み込んで事業推進に携わっているのが素晴らしいですね。 

求人を出しているスタートアップ側は当然本気ですので、今後副業CxOを始める人も本気で向き合うことが求められると思いました。

起業家がどんな世界観を目指しているのか、そこをしっかり理解するリソースが取れなくなったら、逆に副業ももうやめた方がいいかなとすら考えています。 

――以前は「A社での経験を活かして新しいスタートアップでもう一度!」とお話されていたようですが、今と印象は異なりますか。 

多少は異なりますね。あくまで私のケースはですが、意外なことに「副業をしてすぐに転職したい」とはならず、むしろ冷静にキャリアを俯瞰できるなと思いましたね。

実際に副業を始めてみると、起業家にはどうしても事業ドメインへの情熱、熱狂という点で勝てないなと感じました。

だからこそ、本気でCxOとしてスタートアップに参画するなら、マインドセットの面で起業家を追い越すくらいの覚悟が必要だとあらためて思いました。とはいえ、これまでの経験はすごく還元できていますし、自分の現職への影響や学びも数多くあります。


アーリーステージの情熱を現職に活かせる

―― そんなスタートアップに本気で向き合っているOさんに、キャリア観への変化などはありましたか。 

まだ揺れ動いている最中ではありますが、やはりアーリーステージのスタートアップは楽しいし、自分の特性上もアーリーが合っているなとは感じます。もしも次に転職するとしたらやはりアーリーステージに入っていきたいな、とあらためて実感しました。

実は、現職でも新たに0→1の新規事業を立ち上げるような新しい取り組みにチャレンジするように動いたので、今すぐの転職ではないです。

―― 少なからず副業体験が現職に影響を与えているかもしれませんね。 

そうかもしれません。加えて、いろいろなステージのスタートアップに対応できる人材になりたいので、これまでのキャリアを俯瞰できるようなきっかけでもありました。

副業CxO自体は、自分のキャリアにすごくポジティブな良い経験ができていると思います。とはいえ、‟今のスタートアップに集中したら“という声も聞こえてきそうなので、立ち位置は難しいですね。

それでも、個人のキャリアに対しても現職に対しても生かせるポイントが幾つもある、ということにあらためて気づきました。

たとえば、「このフェーズの企業はこういうことに悩んでいるのか」という課題収集にもなりますし、もしスタートアップを対象にビジネスをしている方であれば、副業先の課題解決にも資することができてWin-Winですね。

あとは事業ドメインが違うと、それだけで新しい知識理解が広がっていくので、今の会社での新しい取り組みのエッセンスになります。

そして、マインドセットの観点で非常に刺激を受けます。小さい企業だった時の感覚を思い出しますし、現職でももっと頑張るか!というモチベーションにも繋がるので、すごくポジティブだと思います。

――現職スタートアップへのインパクトもあるというのは非常に意義深いと感じました。

最後に付け加えると、フットワークの軽さと覚悟感を両方持っていけるとCxOとして活躍していけるのだと思いました。

結局その会社に飛び込んでみないと分からないことがほとんどで、業界ドメインや起業家のキャラクターによって全く変わりますし、その企業のステージによっても事業の適性が変わっていきます。

最終的にスタートアップへの転職をしても、しなくても、覚悟を持って業務に臨んでいくという姿勢を持っていれば、お互いにとって意味のある、良いご縁になっているのではとあらためて思いました。

Oさん(仮名 30代)

これまでスタートアップ企業を複数社経験。
スタートアップA社の創業メンバーとして参画し、現在はCxOとして従事。
2024年11月より副業CxOを開始し、20253月現在もスタートアップB社で副業を継続。

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