【レポート公開】“現場の最前線”で変化と向き合うコンサルタントのリアル―KPMGコンサルティング シニアマネジャーが語る、「変化をリードする」キャリアの描き方― 開催しました!

【レポート公開】“現場の最前線”で変化と向き合うコンサルタントのリアル―KPMGコンサルティング シニアマネジャーが語る、「変化をリードする」キャリアの描き方― 開催しました!
KPMGコンサルティング株式会社のシニアマネジャー3名を迎え、オンラインセミナー「“現場の最前線”で変化と向き合うコンサルタントのリアル―KPMGコンサルティング シニアマネジャーが語る、「変化をリードする」キャリアの描き方」を開催しました。

本セミナーでは、監査法人グループならではの信頼性を背景に、ファイナンス変革やERP導入、セキュリティ領域など多岐にわたるテーマについて、現場のリアルな経験を共有。転職を経てコンサルタントとして活躍するまでのキャリア形成、チームで成果を生み出すためのマインドセット、そしてKPMGコンサルティングが大切にする風通しの良い文化について語っていただきました。

1時間にわたるトークセッションを通じて、同社が目指す「人と組織の成長を支えるコンサルティング」の真髄を紐解きました。

E.K氏
Enterprise Solutions Cloud Platform Solutions
シニアマネジャー
大手外資系ITコンサルティング会社を経てKPMGコンサルティングに参画。
10
年以上Oracleソリューション導入に従事し、SCM/FINをメインとした基幹システム刷新プロジェクトで、構想策定、要件定義、設計開発、テスト、定着化支援の経験を数多く有する。
近年では、サプライチェーン全体でのサステナビリティの取り組みに関する知見も有する。

M.T氏
Finance Strategy & Transformation
シニアマネジャー
公認会計士。有限責任 あずさ監査法人を経て現職。
あずさ監査法人では、上場企業を中心に日本基準、国際財務報告基準(IFRS)基準に基づく会計監査を10年以上経験。
また、新会計基準適用やIFRS導入支援、経理決算業務プロセス改善など、会計アドバイザリー業務にも従事。
KPMG
コンサルティングでは、財務経理部門に対する支援を中心として、経営管理高度化、資本コスト経営導入、経理業務プロセス改革、会計システム更改など、さまざまなプロジェクトをリード。

Y.T氏
Technology Risk Services
シニアマネジャー

大学卒業後SIerに入社。
社内外のISMS認証の事務局支援を経験した際にセキュリティコンサルタントに興味を持ち、監査法人系コンサルティングファームに転職。
政府機関への出向を経て、2017年にKPMGコンサルティングに入社。
リスク評価を含むセキュリティや個人情報保護管理態勢の見直しや構築に係る支援、監査設計や導入及び実施支援など、主にセキュリティや個人情報保護全般に関わる業務に従事。
近年では、海外へのサービス展開や情報の利活用などを推進するために必要なプライバシー観点でのリスク評価や個人情報保護態勢強化案件を複数経験。
リスク評価とその改善策の検討、ポリシー策定やプライバシーリスク管理プロセスの構築や見直し、導入支援などを実施。

3部門のシニアマネジャーが語る、変革を導く現場のリアル

アクシスコンサルティング 直江
本日は、KPMGコンサルティングの現場で変化と向き合いながら、顧客企業の変革をリードされているシニアマネジャーの皆さまにお話を伺います。 

E.Kさん
私は「クラウドプラットフォームソリューション(CPS)」という部門に所属し、主にERPの導入支援を担当しており、 Oracle Fusion Cloud の導入を中心に手がけています。 

KPMGではSAPMicrosoftなど、幅広いERPパッケージに対応しており、さまざまなプロジェクトを展開しています。その中でも私たちCPSは、KPMG独自の「Powered Enterprise」というSaaSERP導入アセットを活用し、お客様に業務変革を前提とした導入支援サービスを提供しています。 

他社との大きな違いは、「システムありき」ではなく「業務ありき」で変革を考えることです。業務プロセスの改革を起点に、そこへ最適なシステムを当てはめていく。この思想を持つ人材を採用・育成しているのが私たちの特徴です。どうぞよろしくお願いいたします。  

M.Tさん
私は「Finance Strategy & TransformationFST)」という部門に所属しています。少々長い部門名ですが、主に CFOや財務・経理部門に対し変革支援を行うチームです。 

業務領域としては、上段にある「EPM(管理会計・経営管理)」の支援や、下段の「Lean Finance(制度会計・業務改善)」など、会計領域全般を幅広く支援しています。経理決算プロセスの改善なども多く手がけており、まさに財務会計に関することなら何でも対応しています。 

FSTの強みとして、あずさ監査法人との協業が挙げられます。監査法人と連携しながら、専門的な知見を持って会計領域を支援できるのは、当社ならではの特長です。また、グローバルネットワークの強さも大きなポイントで、世界中のKPMGのメンバーファームと連携し、最先端の知見を生かした支援を行っています。 

さらに、FSTのメンバーのバックグラウンドも多様です。監査法人や他のコンサルティングファーム出身者、事業会社で経理経験を積んだ方、SIerとして会計システム導入に携わった方など、多様な人材が一緒に働いています。こうした多様性が、KPMGの柔軟かつ実践的な強みを支えていると思います。本日はよろしくお願いいたします。 

Y.Tさん
私は「Technology Risk ServicesTRS)」という部門に所属しており、セキュリティ領域全般の支援を担当しています。 

具体的には、セキュリティ対策の企画からリスク評価、改善提案、そして監査対応まで、一貫して支援しています。実装そのものは行いませんが、実装に至るまでの助言や伴走支援を担っています。 

私が多く携わっているのはプライバシー領域で、個人情報保護を中心に、クライアントの状況に応じた最適な対応を設計しています。また、工場や製造現場のセキュリティ強化、AI導入におけるリスク対策など、DX時代特有の課題にも取り組んでいます。 

セキュリティ分野は非常に広く、私自身もリスク評価・監査設計などを経験してきました。今は「セキュリティなんでも屋」として、クライアントの幅広い課題に応える役割を担っています。

ERP・ファイナンス・セキュリティの最前線で起きている変化

直江
KPMGコンサルティングの多様な専門性と、実践的な現場支援の幅広さが伝わってきました。本日モデレーターを務めさせていただくのは、弊社アクシスコンサルティングの荒木田です。 

アクシスコンサルティング 荒木田
私も以前皆さんと同じように監査法人系のコンサルティングファームにおりました。さっそく最初のセッションに入ります。テーマは「最前線の現場で今起きていること」。近年の顧客ニーズの変化を、現場のシニアマネジャーの皆さまに一言ずつ伺います。まずはE.Kさん、ERP領域での変化を教えてください。 

E.Kさん
私のキャリアの大半はERP導入ですが、ここ数年はSaaSERPの導入が顕著に増えています。やり方の中心は“Fit to Standard”。まず業務を標準に合わせて設計し、「自社は何を変えるべきか」を明確にするという考え方が主流になりました。

以前は「どんなシステムを作るか」に紐づくご相談が多かったのですが、最近は業務変革を実現するためのコンサルティングという捉え方が増えています。とはいえ、お客様は自社の強みを残したい。標準化と固有の強みの両立をどう設計するか——そこが最重要テーマになっています。 

荒木田
会計・経営管理の観点からM.Tさん、いかがでしょうか。 

M.Tさん
会計・ファイナンスでは、CFOという役割が一般化し、財務経理部門の担う範囲が広がっています。昔は「制度会計をきちんと回す」だけで良かったのが、今はCEOのビジネスパートナーとして企業価値向上に寄与することが求められる。

その結果、案件も経営管理のあるべき姿の設計や経営管理基盤の構築(EPM)、制度会計・決算プロセス改善(Lean Finance)など、経営と直結するテーマが増加。会計観点の助言を期待される場面が多く、監査法人との親和性やグローバル連携といったKPMGの強みが生きています。 

荒木田
Y.Tさん、セキュリティの最前線はいかがでしょうか。 

Y.Tさん
サイバー攻撃は以前からありましたが、ここ数年で明らかに件数・手口ともに増加しています。限られたリソースの中で、いかに多様な脅威に対抗していくか――お客様は今、そこに非常に頭を悩ませています。 

加えて、最近ではAIを活用して事業を拡大する企業も増えています。その際、「AI導入に伴う新たなセキュリティリスクをどう管理すべきか」という相談も急増しています。 

また、事業のグローバル展開やM&Aなど、ビジネスの構造自体が複雑化しており、国や業界ごとに異なる法令・ガイドラインに対応しなければなりません。そのため、「セキュリティガバナンスをどのように機能させるか」という課題がこれまで以上に重視されていると感じます。  

荒木田
まさに多面的なリスク対応が求められる時代ですね。とはいえ、セキュリティ分野にはSIerIT系コンサルティングファームなど、さまざまなプレイヤーが存在します。その中で「KPMGだからこそ依頼される理由」は何でしょうか? 

Y.Tさん
確かにセキュリティ分野には多くの企業があります。ただ、KPMGには監査法人グループならではの信頼性と中立性があります。 SIerはどうしてもシステム実装に焦点を当てがちですが、私たちはシステムに加えて人・体制・ビジネス構造まで含めた包括的な支援を行います。 

たとえば、リスク評価や対策方針の策定において、単なるシステム導入の枠を超えて、「組織としてどう守りを設計するか」「経営としてどう判断すべきか」まで踏み込んだ提言を行う。 これは、監査法人グループに属するコンサルティングファームだからこそできるアプローチだと思います。  

荒木田

なるほど。システム偏重ではなく、ビジネス全体を俯瞰したリスクマネジメントが強みなのですね。そこにKPMGブランドとしての安心感・安定感が加わることで、顧客からの信頼にもつながっているという印象を受けました。

信頼に裏打ちされた中立性と、変化を導く人間力――これからのコンサルタントに求められる力

荒木田
ここからは「コンサルタントに求められるこれからの力」についてお話を伺います。現場で部下の育成に関わりながら、ご自身も第一線で活躍されている皆さまが、どんなスキルやマインドを重視しているのかを教えてください。 

M.Tさん
まずは、知識やスキルの幅を広げることです。CFOや財務・経理部門の担う範囲がここ数年で格段に広がり、私たちコンサルタントもカバーすべき知識領域がより広範になっています。会計や経営管理の専門性はもちろんのこと、テクノロジーやデータ分析といった新しい領域への理解も欠かせません。 

ただし、AIの進化によって「単純な情報の価値」は確実に下がっています。単に調べてまとめるだけでは付加価値を出せません。

だからこそ、自分ならではの武器を持つことが必要です。会計に軸を置きながらも、データや業務改革など、1つの強みを掛け合わせて新しい価値を創り出す力が求められます。 

もうひとつ大切なのは、人を動かす力。業務範囲が拡大する中で、多様な部門や立場の方々を巻き込みながら進める場面が増えています。専門知識だけでなく、相手の心を動かし、協働を促す人間力がこれまで以上に問われていると感じます。  

Y.Tさん
セキュリティの分野でも、専門知識だけでは通用しない時代になっています。もちろん技術スキルは重要ですが、クライアントの業界・事業環境・経営課題を理解した上で「何が本当に最適な答えなのか」を一緒に考える力が求められています。お客様によって正解が異なるので、状況を理解し、最善を導き出す思考力対話力が不可欠です。

また、社内外の多様な関係者と議論を重ねながら課題を特定していくプロセスでは、チームで考え、共に創り上げるコミュニケーション能力が鍵になります。

セキュリティは技術だけでなく、人と組織、文化の問題でもある。だからこそ、「知識を超えた共創力」がこれからのコンサルタントには必要だと感じています。 

荒木田
特にセキュリティ領域では「何か起きてからの対応」と「起きる前の備え」、どちらが多いのでしょうか? 

Y.Tさん
「起きてからの対応」より、「起きる前の備え」でご依頼いただく方が多いですね。もちろん、インシデント対応や情報漏えいの事後対応もありますが、多くは事前の備えやリスク分析から入る案件が中心です。

ニュースで情報漏えいの話題が出るたびに、「うちも大丈夫だろうか?」と危機意識を持つお客様が増え、その対策をご相談いただくケースが多いです。 

また、お客様自身のビジネス環境の変化に応じて、「ここにリスクがあるのでは」と気づき、自主的にリスク分析や対策立案を依頼されることも増えています。 

荒木田
リスクマネジメントを前提に考えるお客様が増えているわけですね。では最後に、E.Kさん。ERPなど業務変革の現場で、これからのコンサルタントに求められる力はどんなものでしょうか? 

E.Kさん
実感するのは、お客様の課題が非常に複雑化しているということです。たとえば、私が担当するERP導入を例に取ると、以前は「いかに安く」「いかに早く」という効率性重視の議論が中心でした。

しかし今は、お客様のお客様のニーズが多様化し、パーソナライズされた要求やCO₂排出量の可視化対応など、社会的責任を含めた要請が増えています。

つまり、企業は「単にモノを作って納品する」だけではなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)を含む新しい価値基準の中で、事業全体を再構築する必要がある。こうした変化の中で、コンサルタントには「正解のない問い」に答えを導く力が求められています。

 私たちは事業会社の内部にいるわけではありませんが、多くの業界・企業に関わる経験と知見をもとに、「この企業にとって最も現実的で持続的な解」を導き出すことが求められると感じています。

変化を捉え、自ら学び続ける――KPMGのコンサルタントが実践する“知のアップデート術”

荒木田
ここからは少し視点を変えて、皆さんの「自己啓発」についてお聞きしたいと思います。これだけ複雑で変化の激しい時代の中で、どのように知識をアップデートし続けているのでしょうか? 

E.Kさん
私は前職でベンチャー企業に在籍しており、ESG関連の支援にも携わっていました。その経験から、ESGとサプライチェーン、そして会計が非常に密接に関わっていることを実感しています。

たとえば財務会計の開示要件には、ヨーロッパを中心にESG要素や人権デューディリジェンスの観点が求められています。こうした潮流はERPやサプライチェーン構築の現場にも波及しており、今や切っても切り離せません。 

そのため、私は普段からお客様からのRFP(提案依頼書)などに新しいトピックが含まれていた際には、「専門外だから対応できません」とは言わず、まず自分で調べてみるようにしています。

世の中の動きや規制の方向性をキャッチアップしておくことで、案件に応じて最適な専門部署や人材とつなぐことができます。自分の守備範囲を少しずつ広げながら、わかる範囲で橋渡しできる存在を目指しているイメージですね。 

荒木田
専門外のテーマもまず自分で触れてみるという姿勢が印象的です。M.Tさん、ファイナンス領域ではどのように自己研鑽をされていますか? 

M.Tさん
私は「意識的な自己啓発」というよりも、お客様の企業をもっと良くしたいという思いから自然と学び続けている感覚です。CFOや財務経理部門の方々に寄り添う仕事をしていると、その企業のことを深く理解したくなる。「この会社の成長に貢献するには何が必要か?」を考えるうちに、結果として幅広い知識に手を伸ばしています。つまり、好奇心が最大の学びの原動力になっているのです。

お客様の課題に真剣に向き合うことで、「これも知らなければ」「あれも調べよう」と自然と新しい知見を取り入れられる。義務感ではなく、探求したいという気持ちが私を動かしているのだと思います。  

荒木田
確かに、知識よりも興味を持つ姿勢が成長の鍵なのかもしれませんね。Y.Tさんはいかがでしょう? セキュリティ分野は日々技術革新が激しいと思いますが。 

Y.Tさん
セキュリティ領域では、常に最新トレンドを追うことが欠かせません。私は業務の合間に、国内外のセキュリティ分析ブログや専門メディアをチェックしています。単なるニュースを読むだけでなく、複数の情報源を比較しながら「なぜそれが起きたのか」を考えるようにしています。 

また、コンサルタントとしてお客様に寄り添うためには、その企業の文化やビジネス状況を理解することも重要です。プロジェクトが始まる前には、必ずお客様のWebサイトや最新リリースを確認し、「今この会社はどんな課題を意識しているのか」「どんな変化を迎えようとしているのか」をリサーチします。セキュリティ対策は企業ごとに異なるので、業界や文化の理解力も専門スキルの一部だと考えています。

人と文化がキャリアを支える――KPMGで描く“自分らしい成長”の理由

荒木田
ここからは、「KPMGコンサルティングでのキャリア」について伺います。数あるコンサルティングファームの中から、皆さんがKPMGコンサルティングを選んだ理由とは何だったのでしょうか? それぞれのキャリアの背景も含めてお聞かせください。 

Y.Tさん
私がKPMGコンサルティングに入社したきっかけは、出向経験が大きな転機になりました。前職で政府機関へ出向し、今の同僚となるKPMGコンサルティングのメンバーと一緒に仕事をする機会があったのですが、その際に感じたのが「人の魅力」です。

仕事に対して誠実で、落ち着いていて、穏やかな人が多い――。お客様側の立場で接していても、「この人たちと一緒に働きたい」と素直に思えました。また、自分のキャリアの軸であるセキュリティ領域でも、KPMGコンサルティングなら確実に経験を積めると感じたことが決め手でした。

入社して7年ほどになりますが、あの時の印象は今も変わっていません。どの部門の方も同じように協調的で、人間的な温かさを持った方が多い。長く働けている理由は、まさに人の良さと風土の穏やかさだと思っています。 

荒木田
やはりが決め手というのは大きいですね。実際に現場でその印象にギャップがなかったというのも素敵です。では次に、E.Kさん、KPMGコンサルティングを選ばれた理由をお聞かせください。 

E.Kさん
私は主に2つの理由からKPMGコンサルティングを選びました。まず1つ目は、規模感と成長フェーズです。

私は元々ERP導入を専門としており、特にOracleを中心に担当してきました。他の大手コンサルティングファームも検討しましたが、すでに組織体制が確立されていて、自分が「歯車の1つ」になるイメージが強かったのです。

一方でKPMGコンサルティングは、他のファームに比べてまだ成長途上で、「自分の経験を生かして組織を広げていける」環境だと感じました。面接の際にもその雰囲気を強く感じ、「自分の力で会社の成長に貢献できる」ことが魅力でした。 

2つ目は、「Powered Enterprise」というSaaSERP導入の方法論に惹かれたことです。これはKPMGがグローバルで開発した、独自のフレームワークです。

面接時にその話を聞いた時、「これを使ってお客様の業務変革を支援するのは面白そうだ」と直感しました。学びながら成長できる環境が整っている――そう感じて入社を決めました。 

荒木田
M.Tさんはどのような理由でKPMGコンサルティングを選ばれたのでしょうか? 

M.Tさん
元々私はあずさ監査法人に所属しており、KPMGの中でキャリアをスタートしました。

その後、より広い経営課題に携わりたいという思いからコンサルタントの道を志し、現在のKPMGコンサルティングへと移籍しました。転籍を決める大きなきっかけとなったのが、当時監査法人の担当パートナーであった宮原正弘(現KPMGコンサルティング会長)の存在です。

監査法人時代に同じチームで仕事をしていたのですが、宮原は常に部下の意見に耳を傾け、風通しの良いチームづくりをされていました。その姿勢に惹かれた部分も大きく、「この人のもとで働きたい」という思いが芽生えたのです。実際に面接の際にお会いした他のメンバーからも、同じような文化――お互いを尊重し、意見を出し合える雰囲気を感じ取り、他のファームは見ずにそのままKPMG内で転籍を決めました。 

荒木田
監査法人とコンサルティングファーム、同じKPMGでも距離感はどうなのでしょう? 他のビッグフォーと比べても、KPMGは特に近い印象を受けます。 

M.Tさん
確かにその点は特徴的だと思います。私は元々監査法人出身ということもあり、あずさ監査法人の方々との関係は今でも続いています。一緒に案件を進めたり、時には飲みに行ったりと、日常的に交流があるのはKPMGならではの良さだと感じています。 

荒木田
他のお二人はいかがでしょう? 監査法人との関わりという点で、どのような印象をお持ちですか? 

E.Kさん
私の場合、直接的に監査法人の方々と一緒に仕事をする機会はあまりありません。独立性の観点から、監査法人のクライアントに対して私たちがサービスを提供することには制約がありますので。ただし、情報共有という点では非常に近い関係にあります。

たとえば監査法人側から「あるクライアントがERP刷新を検討しているので、話を聞いてもらえないか」といった相談を受けることがあります。

もちろんビジネス関係に発展することはないのですが、そうした自然な情報連携の場が生まれるのは、KPMGだからこそだと思います。 

Y.Tさん
私も同様に、監査法人と直接プロジェクトを組むことは少ないですが、KPMG全体の風通しの良さは日々感じています。 

たとえば、海外のKPMGのメンバーファームとも情報交換が盛んで、海外の最新事例や動向を共有し合えます。日本国内でも、監査・税務・アドバイザリーが横断的に連携できる文化が根付いており、それが結果としてお客様に提供する価値の幅を広げていると感じます。

「壁を超えて成長する――変化に挑み続けるコンサルタントたちの思考と行動

荒木田
どんな仕事にもはつきものだと思います。コンサルタントとしてのキャリアの中で、どのような壁に直面し、どう乗り越えてこられたのかを教えてください。 

Y.Tさん
壁は正直「日々ある」というのが率直なところです(笑)。振り返ると、最初の大きな壁はSIer(システムインテグレーター)からコンサルタントに転職した時でした。

SIer時代は、決められた範囲の中で効率よく開発や運用を進めることが中心でした。一方で、コンサルタントになると、もっと前段階からお客様と一緒に「どうあるべきか」を考え、課題を定義し、提案する必要があります。 

そのため、技術スキルだけでなく、「自分の意見を持つ」「お客様のビジネスを理解する」といったマインドセットの変化が求められました。この切り替えが最初の試練でした。 

さらにキャリアが進むにつれ、自分の役割も変化します。若手の頃は「与えられた仕事を正確にこなすこと」が中心でしたが、今はチームを引っ張り、方向性を示す立場になっています。

だからこそ、常に「前のやり方では通用しない」と感じながら、自分の思考やスタイルをアップデートし続けることが、今でも最大の壁かもしれません。 

荒木田
SIerからの転身というのは確かに大きな変化ですよね。 

E.Kさん
私も実は同じように開発畑出身で、元々はソフトウェアハウスでプログラマーをしていました。

当時は「お客様の要件を正確に漏れなく形にする」ことが全てでしたが、コンサルタントになって初めて、「そもそもその要望は本当に正しいのか?」という視点を持たなければならないと気づきました。 

つまり、単なる実装者から脱し、お客様の業務そのものをより良くする提案者になる必要がある。ここで求められるのは技術ではなく、思考の構造を変えることでした。 

ただ、私の場合もY.Tさんと同じで、特定の1つの壁というよりも、常に「できないことをできるようにする」日々の積み重ねだと思っています。

自分の力だけで全てを解決しようとせず、上司や同僚、時には後輩の得意分野にも頼りながら進めていく。そうやって少しずつできることを増やしていくことが、結果的に壁を越える力になってきたと感じています。

荒木田
「自分だけで抱え込まず、周囲を頼る」──シニアマネジャーの言葉として、非常に示唆に富んでいますね。 

M.Tさん
私の場合は、先ほどお話しした通り、監査法人からコンサルタントへの転職というキャリアを歩んできました。

監査法人の仕事というのは、いわば「過去の情報の正しさを検証する」という性質があります。一方で、コンサルタントの仕事は「未来に向けて何をすべきかを考える」仕事です。つまり、方向性が真逆なのです。このマインドセットの切り替えが最初の大きな壁でした。 

さらに、私の担当領域の1つである会計システム導入プロジェクトでも苦労しました。会計や業務の知識はあっても、システムの仕組みや開発の流れは未知の領域。最初は「自分一人でなんとかしなくては」と思い込んでいましたが、それでは前に進めないと気づいたのです。 

そこからは、チームで力を発揮することを意識するようになりました。FSTFinance Strategy & Transformation)には、事業会社出身者やSIer出身者など、さまざまなバックグラウンドを持つ人がいます。

それぞれの専門性を生かし合うことで、個ではなくチームとして成果を出す。そうした環境で学びながら成長してこられたのは、KPMGコンサルティングならではだと思います。 

監査法人では同じバックグラウンドの人が多く、話が通じやすく仕事もスムーズでした。しかし、あえてその同質的な世界から外に出ることで、自身の幅を広げられたと感じています。

「未経験でも安心して成長できる環境」──KPMGコンサルティングの育成体制とは

荒木田
ここからは、セミナー参加者の方々から寄せられた質問に移ります。多かったのが、「コンサルタント未経験で入社した場合、どんなフォローや研修があるのか?」という質問です。実際に現場でどのような育成体制が整っているのか、教えてください。 

E.Kさん
私が所属するCPS部門でも、未経験の方を積極的に受け入れています。たとえば「SIer出身だけれどERPパッケージ導入は初めて」「パッケージは扱ったことがあるけれどOracleは未経験」というように、バックグラウンドはさまざまです。 

そこで入社後は、まずレベルに応じた研修カリキュラムを用意しています。Oracle導入に必要な基礎研修を受けられるほか、KPMGOracle社とアライアンスを組んでいるため、オラクル社が提供する外部研修を受講可能です。

さらに、KPMG独自の導入方法論「Powered Enterprise」の研修も整備されており、これを通じて導入プロジェクト全体の流れや業務変革の考え方を体系的に学べます。 

そして、一定の研修を終えた後は、実際のプロジェクトにアサインされてOJTで実践的に学ぶ流れになります。現場で徐々に経験を積みながら、周囲のメンバーにサポートしてもらえる仕組みが整っているので、未経験の方でも安心してキャッチアップできる環境です。 

荒木田
今度は「会社としての支援制度」についてお聞きしたいと思います。たとえば「KPMGコンサルティングではこんな支援制度がある」「こんなところまで会社が投資してくれる」といった特徴的な仕組みがあれば教えてください。  

Y.Tさん
コンサルティング業界が初めてという方も多いので、会社としてコンサルティングの基礎研修が整備されています。

入社後に受講し、基礎的なスキルを習得した上で、各人にメンターが付きます。メンターはパートナーなどの上位職者ではなく、コンサルタントとしての経験が比較的浅いコンサルタントやシニアコンサルタントクラスの先輩が担当し、研修後のフォローアップを行います。 

たとえば、「研修の中で弱かった部分を重点的に強化しよう」と話し合い、該当する研修コンテンツを一緒に選びます。そして1か月後に成長度を確認する――そんなサイクルが仕組みとして組まれています。  

荒木田
メンター制度も含めて、育成のフォロー体制がしっかりしているのですね。語学や資格、書籍などに関する支援制度はどうでしょうか? 

E.Kさん
学習支援の制度はかなり幅広く整っています。代表的なのは英語学習補助ですが、最近ではAI関連の最前線を学べる講座なども導入されています。

たとえば、社外の講座を会社として取り入れ、社員が受講できるようになっています。私も最近、OracleAI活用トレーニングを受けたのですが、非常に実践的でした。 

荒木田
社外講座まで取り入れられるのはすごいですね。ちなみに、それらの費用はどのように扱われるのですか? 

M.Tさん
業務に関連する内容であれば、会社負担での受講や書籍購入が可能です。「この本を買いたい」「この外部研修を受けたい」と申請すると、経費として認められるケースが多いです。コンサルタントは日々学び続ける職業ですから、書籍や研修への自己投資を会社が後押ししてくれるのは大きいです。

穏やかな風土と成長のステージ――KPMGコンサルティングで見つける“自分らしい働き方”

荒木田
まさに「学び続ける文化」が根付いているのですね。最後に、KPMGコンサルティングならではの社風や働きやすさについてもお聞かせください。

Y.Tさん
KPMGコンサルティングでは、予定表(Outlookのスケジュール)をチーム全体で共有していて、そこに「子どものお迎え」や「保育園の行事」など、プライベートな予定もオープンに書かれています。

そうした予定をお互いに尊重してミーティングを設定するのが自然で、仕事と生活の両立を前提とした文化が根付いています。これは制度ではなく「KPMGコンサルティングらしさ」だと思っています。 

M.Tさん
会社としても規模が大きすぎず、上流から下流まで一貫して経験できる環境があります。経営戦略や業務改革から、実際のシステム導入まで、希望次第で幅広い案件に関われるのがKPMGコンサルティングの魅力です。キャリアの幅を広げたい人にとっては、非常に成長しやすい環境だと思います。

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