「ギャルはAIに代替されない」。ギャル人材1,000人で40億円経済圏を目指し、”評価のものさし”を変える/CGOドットコム 総長 バブリーさん インタビュー【後編】<PHILOSOPHY─経営者の思考とキャリア─>

変化の激しい現代において、企業や組織を率いる経営者たちは、どのような哲学を持ち、いかなる判断基準で意思決定を下しているのでしょうか。このシリーズでは、各分野で独自のポジションを築く経営者たちの「PHILOSOPHY(哲学)」に迫ります。単なる成功事例の紹介ではなく、その根底にある思考プロセス、価値観の形成過程、そして困難な局面での判断の背景を深く掘り下げていきます。
今回は、合同会社CGOドットコムで総長を務めるバブリーさんのインタビュー後編をお届けします。前編では、ギャル式ブレストが生まれた背景や、三菱鉛筆をはじめとする企業変革の現場についてお話を伺いました。後編では、組織づくりの裏側から、バブリーさん自身のキャリアの転換点、そして「ギャル人材1,000人で40億円経済圏をつくる」という壮大なビジョンまで、さらに深く掘り下げていきます。
「ギャルはAIに代替されない」——。そう語る彼女が見据える未来には、どのような社会の姿があるのでしょうか。才能の評価基準を変え、誰もが輝ける世界をつくる。その哲学と挑戦の全貌に迫りました。
前編:「遊びでしょ」と言われた”ギャル式ブレスト”が大企業の社長を動かした理由/CGOドットコム 総長 バブリーさん インタビュー【前編】<PHILOSOPHY─経営者の思考とキャリア─>
Index
見た目の発信だけではない。内面の価値で生きるギャルたちの変化
アクシス
前編では、事業の立ち上げやギャル式ブレストについてお話を伺いました。ギャルマインドを軸に、“世の中のバイブスをアゲる”ことをミッションに掲げるCGOドットコムですが、その世界観に共鳴し、共に歩みたいという方も増えているのではないでしょうか。
バブリーさん
めちゃくちゃ増えていますね。ギャルで世の中を変えられる会社って、おそらく世界でもほとんどないと思うんです。ギャルの子たちも、それまで自分の稼ぎ方といえば「見た目」で発信することが多かったんですよね。でも今は、「自分たちのマインドにも価値があるんだ」と気づいてくれるようになって。初期から関わってくれているメンバーはもちろん、新しく入った子たちからも、「自分の新しい価値を見いだせた」と言ってもらえることが増えました。
アクシス
バブリーさんが一緒にやっていきたい仲間に対し、ギャルとして持ってほしい要素は何でしょうか。
バブリーさん
ギャルマインドの3つ、「自分軸」「直感性」「ポジティブ思考」はマストです。この3つがどれだけ高いかをまず見ています。あとは、世の中に対して「還元したい」という気持ちがあるかどうか。中には「自分がどう思うか」を第一に考えて、自分の中だけで完結してしまう子もいるんですが、社会に活かしたい、社会を変えたいという強い意志を持っている子を採用するようにしていますね。
アクシス
取材で決起会に参加したときに驚いたのは、皆さんそれぞれが自分の道をつくっていける方ばかりだったことです。
バブリーさん
そうですよね。やっぱり、ゼロから何かを生み出そうとしている人は本当に優秀だと思います。世の中には「仕事をもらう」ことが当たり前になっているけれど、自分で決めた道を社会に出したいという強い意志を持っている人は少ない。その思いを“お金に変える方法”を一緒に考え、形にしてあげるのが私たち会社の役目だと思いますね。

空気を読み、人を動かす。だからギャルはAIに代替されない
アクシス
メンバーにはいろんな方がいらっしゃいますが、統制をとるのは難しい部分もあると思います。マネジメント面で意識されていることはありますか。
バブリーさん
ベースで共有しているのは「どういう世の中にしたいか」ということですね。毎月1回、全社会議をオンラインで開いていて、そこでみんなで議論を交わしながら目線をそろえるようにしています。
あとは、一人ひとりスキルも能力も違うので、良いところも課題も全部違う。だから、プロジェクトが終わったあとには必ず全員で集まって「ここが良かった」「次はここを活かそう」といった振り返りをしています。さらに、3カ月に1回のペースで個別にも「最近どう?」と私から話を聞く時間をつくっています。
とはいえ……統制できているかと言われると、正直できてないかも(笑)。
アクシス
むしろ“あえて統制をとらない”というのも正解のような気がしますね。
バブリーさん
確かに。私たちは「目指す山」だけをみんなで見て、士気をそろえながら登っていく。登り方はそれぞれに任せています。 大きくルートがズレないように私たちが見守る。そんなスタンスですね。
アクシス
ギャルの中でも特に成長していく方には、どんな特徴がありますか。
バブリーさん
自分で決めた目標に対して、「すてきな自分になろう」と努力できる子は圧倒的に伸びますね。あるメンバーは、最初クラブで酔っ払っているところで出会ったんです(笑)。
初めてのブレストでもずっと「まじやべぇ」って言っていて、正直ちょっと不安にもなったんですけど(笑)。でもそこから、「価値を出したい」「この活動が楽しい」と自分の中でスイッチが入って、活かせるスキルを理解してどんどん成長していった。そういう変化を見るのは本当にうれしいです。
アクシス
今、AIが話題になっていますが、やっぱりお話を聞いていると“人間味”を強く感じます。
バブリーさん
そうそう、みんな言ってるんです。「ギャルはAIに代替されない」って(笑)。AIにはできない“空気を読む力”とか、“相手の感情を感じ取る力”がギャルにはあると思っていて。むしろ今の時代、ギャルが上位互換なんじゃないかとすら思います。
アクシス
今後の仲間づくりはどのように考えていますか。
バブリーさん
私は、ギャルの子たちのように、まだ世の中に見えていない才能がたくさんあると思っています。そういう才能をどんどん発掘していきたい。それはギャルだけじゃなくて、たとえばロリータの子とかもギャルマインドを持っていると思うんです。
本人たちがまだ気づいていない価値を発掘して、既存のルールにはなくても活躍できる場をつくる。それが私たちの使命ですね。
経済循環という意味でも、たとえばギャルマインド人材を1,000人発掘すると、会社としては約4,800プロジェクトを創出できる見込みがある。それを回していくと、売り上げベースでおよそ40億円規模になる計算なんです。ざっくりですが、そうやって「ギャルマインドで経済を回す」――そんな新しい循環を本気でつくっていきたいと思っています。

バブリーさんの原点。教員一家の優等生が、自分の意志で歩き出すまで
アクシス
ここまでは、組織や事業としてのCGOドットコムについて伺ってきました。続いては、そんな“ギャルマインドの体現者”とも言える創業者のバブリーさんご自身についてお聞きしたいと思います。どんな経験や価値観が、今の活動の原点になっているのでしょうか。
バブリーさん
私は山梨県出身で、実は家族全員が教員なんです。幼少期から「いい大学に行って、いい企業に就職するのが当たり前」という環境で育ちました。だから高校までは、ずっと真面目に勉強ばかりしていたタイプでしたね。ところが高校に入ってから不登校になり、そのまま退学。 家出同然で大阪に行って、そこで初めて“ギャル”と出会ったんです。
アクシス
その出会いがすべての始まりだったわけですね。どんなインパクトを受けたのでしょうか。
バブリーさん
衝撃でしたね。彼女たちの「自分で生きる力」が本当にかっこいいと思いました。 誰かに決められたルールの中で生きるんじゃなくて、自分たちでルールをつくって、自分たちの生き方をちゃんと定義して、それを体現している。それまでの私は、親や先生がつくったルールの中で生きていたから、それが“楽”だったんだと気づかされましたね。
アクシス
そこで感銘を受けたと。そこからビジネスにしようと思ったのが、前編でもお話があった大学時代の創業とつながってくるわけですね。
バブリーさん
そうです。前編でもお話しした、社会でギャルマインドを失ってしまった湘南のギャル男との出会いでした。
また、ちょうどその頃、渋谷109の人気ブランド・セシルマクビーさんが「ギャルは絶滅した」と発表して路線変更されたんです。そのニュースを見て、「あ、時代が大きく変わろうとしているんだな」と感じる一方で、心の中では「でも、ギャルってそういうものじゃないよな」と思ったんですよね。
だって、ギャルはファッション文化だけじゃない。私を救ってくれたのは“見た目”ではなく、“ギャルの精神性”だった。そこにこそ価値があるのに、“絶滅”と言われるのはちょっと違う気がして。だからこそ、反骨精神で立ち上がりました。
「ギャルは存在する」という命題を掲げて、2019年、大学3年生のときにCGOドットコムを立ち上げたんです。
アクシス
事業を立ち上げる上で、不安になることはありましたか。
バブリーさん
めちゃくちゃありましたね。大学を卒業して、2022年に新卒でリクルートに入社したんですが、自分の会社をやりながら会社員として働いていました。でも、1年で辞めて、CGOドットコムの事業に専念しようと決意したんです。それまでは会社員としての収入があったから生活もできていたんですけど、独立を決めた瞬間、足がぶるぶる震えました。「本当に稼げるのかな」「メンバーもちゃんと食べさせていけるのかな」って。
ちなみに、大学時代にメンバーのハラミと出会っていて、彼女はギャルが大好きで「働かせてください」と言ってくれたんです。今では事業部長として会社を支えてくれていますし、彼女をはじめ、初期から関わってくれたメンバー全員が本当に頼もしかった。みんながそれぞれの得意分野で支えてくれたから、今のCGOドットコムがあると思っています。
「評価のものさし」をつくり替えたい
アクシス
今は、バブリーさんが目指す理想の世界に近づいていますか。
バブリーさん
着実に近づいていると思います。もちろん、うまくいくことばかりではなく、「つらいな」「面倒だな」と感じる瞬間もあります。でも、それはきっと誰もが同じですよね。だからこそ、そうした中でも“楽しいことを自分から探しにいく”という姿勢で、毎日仕事をしています。
一方で、CGOドットコムが取り組んでいること自体は確実に未来につながっている。私たちは日本の未来を変えられる可能性があると、心から信じています。それはまったくブレませんね。
「そこにギャルはおらんやろ」と言われるような場所に、 あえてギャルを置いて“当たり前の常識”を塗り替えていく。だって、その方が絶対に楽しいじゃないですか。ブレストの現場で、誰かが何かを言うと、ギャルたちはすぐにリアクションするんです。「めっちゃおもしろい!」とか「それ、最高!」とか。 そうやってポジティブな反応が返ってくることで、発言した人の自信にもつながっていく。その瞬間をつくり出せるのが、私たちの仕事だと思っています。
アクシス
バブリーさん自身は、そもそも日本をどうしたいと考えていますか。
バブリーさん
世の中のバイブスをアゲていきたい。それに尽きますね。
そして、実は私がギャルの事業を始めた理由はもうひとつあるんです。私から見て“生きる力が強くて、めちゃくちゃ賢い”と思っていた子たちが、いろんな事情で大学に行けなかったり、うまく就職できなかったりしていて。その現実を見て、「世の中って不平等なんだ」と気づいたんです。
つまり、誰かが“能力”というものの基準を決めていて、本当は才能が100通りあっても、そのうちの10%くらいしか評価されていない。それを少しでも変えたいと思いました。ギャルたちのように、型にはまらない才能が世の中を変えていける。そんな新しい価値観を、これからもどんどん広げていきたいです。


人生で3回学校を中退。家出先の大阪で出会ったギャルマインドに感銘を受ける。✨🌈ギャルマインド🌈✨で「世の中のバイブスをアゲる↑」ことを目指し、合同会社CGOドットコムを設立。企業や団体にギャルを送り込む『ギャル式ブレスト®︎』、そこから生まれたアイデアを商品や事業に反映する「ギャル式スタジオ」などを展開する。2023年「Forbes Japan 世界を救う希望100人」に選出。2025年「IVS LAUNCHPAD2025」にてインベスターZ賞を受賞。バブリーという名前は、本名の竹野理香子の「竹(バンブー)」と「理香子」に由来。

合同会社CGOドットコムは、総長バブリーさんが2019年に創業した組織開発企業です。「自分軸」「直感性」「ポジティブ思考」で定義される「ギャルマインド」を武器に、企業の固定観念を打ち破ります。
三菱鉛筆、スズキ、日産自動車、札幌市など大企業・官公庁で導入実績がある主力サービス「ギャル式ブレスト®︎」は、ギャルがファシリテーターとなり、敬語禁止・あだ名呼びで心理的安全性の高い場をつくり、自由な発想を引き出します。
社名の「CGO」は「Chief Gal Officer」の略で、CEO・COOと並びギャルを経営の中枢に置くべきという信念を表現。「各社に1人ギャル」をビジョンに掲げ、型にはまらない才能が活躍できる社会の実現を追求しています。

アクシスコンサルティングは、コンサル業界に精通した転職エージェント。戦略コンサルやITコンサル。コンサルタントになりたい人や卒業したい人。多数サポートしてきました。信念は、”生涯のキャリアパートナー”。転職のその次まで見据えたキャリアプランをご提案します。


