スポットコンサルで“中小企業経営のリアル”に踏み込む|大手戦略コンサル マネージャー Yさん(30代)副業体験談

現役コンサルタントとして副業にも携わるYさん(30代 : 仮名)。
大手戦略コンサルファームで数々のプロジェクトを経験され、洗練された戦略眼と実践的なノウハウを身につけた一流コンサルタントが、キャリアの新たな可能性として、副業スポットコンサルに挑戦しています。
経営・事業に悩む中小企業経営者との対話の中で、Yさんは、コンサルファームで培われた課題整理力や判断力を発揮されています。
そんなYさんから、スポットコンサルとしてのリアルな副業経験をお伺いしました。
Index
副業が大手ファームでは携われないクライアントへの支援機会になる
――現在、どのような会社でどのようなお仕事をされているのかについて教えてください。私は、グローバルに展開する大手戦略ファームに所属しており、主に大企業の経営戦略立案や事業再構築、市場進出戦略の策定支援を行っています。クライアントは大手メーカーからハイテク企業、さらには新興企業にまで及び、状況に応じた最適なソリューションを提供することに注力しています。常に変動する市場環境の中で、経営者が抱える課題や不透明な未来に対して、迅速かつ本質的なアプローチを実現するために日々取り組んでいます。
――本業でコンサルティングをされる中で、なぜ副業を始めようと思われたのでしょうか?
新卒から一貫してコンサル業界に従事し、さまざまな経営・事業の知見を蓄積してきましたが、その知見でさらに多くの経営者を支援しキャリアの幅を広げたいとの思いから、副業を開始しました。
現状の大手クライアント向けのプロジェクトとは異なり、副業では中小企業やスタートアップといった、多様な規模や業界の経営課題に直接向き合える環境での支援をしております。これにより、クライアントごとの現場感覚や迅速な対応が求められる実践的な課題解決の方法を学ぶことができます。
さらに、将来的にフリーコンサルタントとして独立することを見据えて、自分の戦略策定スキルや柔軟な問題解決力を試す機会と考えています。限られた時間の中で経営者の抱える課題に対して核心を突くアプローチを実践することで、自己のコンサルタントとしての実力をより正確に測り、ブラッシュアップする場として活用しています。副業スポットコンサルで、事業の現状整理から重点課題の優先順位付けまで支援
――具体的にどのような副業をされているのでしょうか?私が主に行っている副業は、Web会議を活用した1時間単位のスポットコンサルティングです。1時間のWeb会議を通じて、経営・事業に悩みを抱える企業経営者様に対して、経営のさまざまな局面における課題整理を行います。
具体的には現状のヒアリング、そのヒアリングに基づく課題抽出と優先順位付け、そしてその後のアクションプランのアドバイスを、短いセッション内で実施します。スポットコンサルティングは、必ずしも特定の専門分野に限定されるものではなく、経営全般に関する「漠然とした疑問点」や「具体的な方向性の模索」など、幅広いテーマに対応しています。短時間で濃密なディスカッションを行い、クライアント自身が次のステップを明確に描けるように支援する点が大きな強みです。
――実際のスポットコンサルティング支援のエピソードとして、どういったものがありますでしょうか?
実際に受けた案件の中で印象的な事例として、精密部品の製造業を営む中堅企業の経営者からのご依頼がありました。当該企業は、これまでの伝統的な事業モデルで一定の成果を上げていたものの、急速な技術革新と市場変化により、今後の成長戦略に対して深刻な不安を抱えていました。経営者は、限られた生産設備と人材の中で新市場開拓と既存市場の維持をどのように両立させるかに悩んでおり、私との1時間のWebミーティングを実施する運びとなりました。
まず、詳細なヒアリングを通じて、企業の現状分析を行い、経営者からは、製造プロセスや技術、既存の販路・営業活動について詳細に語られました。その中で、特殊な加工技術や品質管理といった強みがある一方、従来の営業方法が現状の市場ニーズに十分対応できていないことが浮かびあがってきました。具体的に抽出した課題は以下の2点です。
- 製品の技術的優位性や高品質な製造プロセスは認められているものの、製品の価値がうまく適合する顧客像を整理しきれていませんでした。
- ターゲットとする顧客のニーズに沿う形で、製品の優れた技術や品質を効果的に伝える営業が実現できていませんでした。
こうして明確化された課題に基づき、まずはターゲット市場の明確化を最優先に着手すべく、既存自動車や精密機器の製造業者に加え、成長性と収益性が高い他の市場セグメントをリストアップするようご提案いたしました。
また次点で、各ターゲットに合わせた新しい営業資料の作成や、アウトソーシング、内部リソースの再配置、試験的な営業キャンペーンの実施といった、実行可能な短期アクションについても、アドバイスいたしました。
経営者と直接対話し、課題解決に貢献できることが最大の魅力
――副業を通じて見えたキャリア観、やりがいはどういったところにありますでしょうか?スポットコンサルティングの副業を通じて得られる最大の魅力は、実際に現場で直面する経営課題を、1時間という限られた時間で解決への糸口を見出すプロセスにあります。多様な業界・企業の経営者と直接対話を重ねることで、それぞれの企業が抱える固有の課題や環境の違いに触れ、これまでの戦略的知見をさらに深められました。特に、今回の事例のように、1時間のヒアリングを通じて経営課題の整理を支援できたことは、自分自身の分析力や判断力に対する自信へとつながり、コンサルタントとしてのキャリア観にも大きな影響を与えています。
また、この副業を通じた経験は、従来の大規模プロジェクトとは異なるスピード感と柔軟性を要求されるため、常に新たな挑戦感覚と達成感を得られる点も大きな魅力です。経営者から「今後注力すべき方針が見え、濃密な1時間だった」という声を直接聞けることは、私自身の成長意欲とやりがいを大いに刺激してくれます。多様な経営の悩みに対して一筋の光明を見出す瞬間は、どの案件においても非常に価値が高く、自らのキャリアパスにも、業界横断的な視点が広がる貴重な体験となっています。
本日は、貴重なお話ありがとうございました。今後のさらなるご活躍を期待しております。
2010年代に外資系ITコンサルティング会社に就職。エンタープライズのDX案件のPM、PLを担当。
2020年に大手外資系戦略コンサルファームに転職し、現在はマネージャーとして主に新規事業、海外事業における戦略立案の案件を担当。
2023年より副業スポットコンサルを開始し、現在も本業と並行して副業を継続中。