起業時に最大400万円の助成金が受け取れる創業助成事業を徹底解説(2025年最新版)

起業時に最大400万円の助成金が受け取れる創業助成事業を徹底解説(2025年最新版)

東京都と東京都中小企業振興公社では、創業時経費の一部の助成を行う「創業助成事業」を行っています。事業の目的は、都内開業率を2030年度に12%まで向上させることにあります。モデルケースとなる個人や中小企業を対象として、賃借料や広告費、人件費などの助成を行います。

参照:東京都産業労働局「創業助成金(東京都中小企業振興公社)|融資・助成制度」
https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/sogyo_josei.html

創業5年までが対象となりますので、起業後の資金不足に対応するためにも活用されています。今回はこれから起業する人や起業後の資金にお悩みの方に向けて、事業の概要を説明していきます。助成金額や申請条件など、しっかりと確認していきましょう。

参照:TOKYO創業ステーション「創業助成事業 – サービス紹介」
https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/

なお、情報は2025年6月時点のものです。実際に申請を行う際は、公式情報を必ずご確認ください。

創業助成事業とは

創業助成事業とは、都内で創業のモデルケースとなる個人や中小企業に対し、創業時費用の助成を実施するものです。これから都内で起業する場合や起業から5年未満の場合は、助成対象となる可能性があります。助成要件を確認していきましょう。

参照:東京都「令和7年度「創業助成事業」募集のお知らせ」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2025/02/13/11.html

助成の概要

助成の対象となるのは、起業を計画中の個人や起業後5年未満の中小企業等で一定の要件を満たす場合です。助成の対象となる期間は、交付の決定があった日から6カ月以上最長2年間。

対象となる経費は、賃借料、器具や備品の購入費、広告宣伝費、産業財産権の出願および導入費用、専門家による指導費用および従業員の人件費、市場調査・分析費です。助成率は3分の2以内で、限度額は400万円が上限、100万円が下限となります。

参照:みしま行政書士事務所「【2025年度】東京都のスタートアップ企業が使えるおすすめ補助金7選」
https://mishima-gyosei.com/blog/?p=267

対象経費の詳細と認定要件

対象経費の詳細は次のとおりです。

事業費

  • オフィスや店舗、駐車場等の賃料
  • 広告宣伝費用
  • デスクやパソコン、コピー機といった事務備品や空調器具などの購入費
  • 産業財産権の出願および導入費用
  • 外部の専門家の助言や指導を受けるための費用

人件費

  • 雇用する従業員に対する人件費

委託費

  • 市場調査・分析費

これらの経費が対象経費として認められるための要件には、次のようなものがあります。

  • 申請事業に必要なものであること
  • 助成対象となる期間中に契約し、履行され、支払いまで完了していること

ただし、賃借料と人件費は交付の決定が通知される前のものであっても対象となることがありますが、これは特例的な取り扱いであり、条件を満たす必要があるため、詳細は公式要項で確認することが重要です。

  • 経費の使途や単価、規模等が明確に確認できるようになっていること
  • 他にも事業を営んでいる場合は、その事業に係る経費と明確に区分けできていること
  • 財産の取得に係る経費は、その財産の所有権が対象者のものになるものであること

助成限度額の詳細

2025年から助成限度額が大幅に拡充されました。

  • 事業費および人件費を助成対象とする助成金: 上限300万円
  • 委託費を助成対象とする助成金: 上限100万円
  • 全体の助成限度額: 上限400万円(下限100万円)

※事業費を助成対象経費として申請する必要があります。

参照:税理士法人 上原会計事務所「【2024年版】東京都で起業する人へ、最大400万円の創業助成金」
https://u-ks.jp/column/subsidy/tokyo-startup-subsidy

 

創業補助金と創業助成金

ウェブ上で検索を行うと、「創業補助金」について解説しているものもあります。似たような名前ですが、これは全く別の制度になりますので混同してしないように注意しましょう。2025年6月時点では、国の制度としての「創業補助金」という補助金の募集は行われていません。

「創業補助金」は過去に存在した国の補助金で、平成30年まで「地域創造的起業補助金」という名称で存在していました。現在、国による起業に係る補助制度はありませんが、自治体によっては類似名称の制度が設けられているところもあります。

創業助成事業申請に係る4つの要件

申請には4つの要件が設けられています。この4つの要件は、すべて満たされていることが必要になります。1つでも欠格項目がある場合は、審査を受けることができません。4つの要件は次のとおりです。詳細は公式情報で確認するか、中小企業診断士等へ相談するようにしましょう。

  1. 都内で創業を予定しているまたは創業後5年未満であること
  2. 指定の創業支援事業を活用していること
  3. 事業者等の要件を満たしていること
  4. その他の要件を満たしていること

それでは、各要件を順番に確認していきましょう。

①都内で創業を予定しているまたは創業後5年未満であること

助成を受けるためには、次の3つの要件の内どれか1つに該当することが必要です。

  1. 都内での起業を検討している個人
  2. 法人の設立登記日から5年を経過していない法人または開業の届け出日から5年を経過していない個人
  3. 法人の設立登記日から5年を経過していないNPO法人の内、次に該当するもの(ただし、中小企業基本法における「みなし大企業」に該当しないこと)
    • 中小企業と提携し、その振興のための事業を実施するもの
    • その表決権の1/2以上が中小企業であり、中小企業の援助を目的としているもの

次の場合は、申請を行うことはできません。

  • 海外も含め、通算5年以上の営業実績がある場合
  • みなし大企業に該当する場合
  • 営む事業が医師または歯科医師に該当する場合

助成対象者となるかどうかは、募集要項に記載されているフロー図で確認することができます。まずは自分が該当するかを確認して、申請作業を進めていきましょう。

②指定の創業支援事業を活用していること

助成を受けるためには、指定の創業支援事業を活用していることが必要です。事業は20種類あり、1つでも利用していれば要件に該当します。事業活用に該当する場合の例としては、次のようなものがあります。

  • TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者
  • 過去3年間に商店街改行プログラムを受講した場合
  • 東京都の中小企業制度融資(創業)を利用した場合
  • 都内の創業支援施設へ現在入居しているまたは過去に入居していた場合
  • 都内区市町村で認定特定創業支援等事業(産業競争力強化法)による支援を受けた方

参照:Square「【2025年】東京都の補助金・助成金|個人事業主・中小企業・起業家向け」https://squareup.com/jp/ja/townsquare/subsidy-tokyo

これらはあくまで一例であり、対象事業にはさまざまなものがあります。対象事業の一覧については、募集要項に記載されています。また、これらの事業を活用されていない場合は、この機会に活用することもおすすめです。

デザインやマーケティング等のノウハウを習得でき、起業に必要なスキルや知識を獲得することができます。助成金だけでなく、そのようなスキル等を身につけておくことは今後の経営に必ず役立つでしょう。

注意点: 申請要件を満たすには、おおむね2カ月以上の時間がかかるため、申請を考えている場合は早めの準備を心がけましょう。

参照:創業手帳「【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説」
https://sogyotecho.jp/sogyojyosei2020/

③事業者等の要件を満たしていること

事業者に対しては12要件が設定されています。助成を受けるためには、そのすべての要件を満たしていることが必要です。以下に要件の一部を紹介します。

  • 中小企業に該当し、法人の場合は登記が、個人の場合は事業税の納税地が都内にあること
  • 実際に事業を行っている本店または主たる事務所が、都内にあること
  • 都の経済や社会への貢献または課題の解決につながる事業内容であること

このように、要件は詳細に定められています。自分の事業が該当するか不安な場合は、中小企業診断士などの専門家に相談するのも1つの方法です。

④その他の要件を満たしていること

ここまで紹介した他にも、詳細な要件が設定されています。納税書類写しの提出などさまざまなものがありますので、申請の際はしっかりと確認して漏れのないようにしましょう。

助成金受給までの流れ

ここからは助成金受給までの流れについて、下記項目ごとに説明していきます。

  1. 申請に必要な要件の確認
  2. 申請書の作成および申請手続き
  3. 審査から交付決定までのスケジュール
  4. 事業の実施
  5. 実績報告と助成金の受給

すべての事業が対象事業として認定されるわけではなく、助成金を受給するためには審査を通過することが必要です。申請書類は必要なポイントをしっかりと確認し、効率よく作成することが必要になります。

審査に不安がある場合は、専門家を活用すれば安心して申請を任せることができるので検討してみるのもいいかもしれません。

①申請に必要な要件の確認

まずは、自身の事業が要件に該当するかを確認しましょう。基本的な要件は、創業5年未満であることおよび創業支援事業を活用していることです。その他の要件詳細については、募集要項で確認するようにしましょう。

②申請書の作成および申請手続き

2025年の重要な変更点: 令和7年度第2回の募集より、申請方法が電子申請(jGrants)のみとなります。郵送での申請はできません。

参照:TOKYO創業ステーション「創業助成事業 – サービス紹介」
https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/

申請に必要となる書類は、下記の5点です。

  1. 創業助成事業申請前確認書
  2. 創業助成事業申請書
  3. 直近2年分の確定申告書等
  4. 登記簿謄本または開業・廃業等届出書
  5. 申請要件を確認できる書類

様式の①と②は、TOKYO創業ステーションのウェブサイトから入手できます。募集要項には記入方法も記載されていますので、確認しながら作成を進めましょう。

③審査から交付決定までのスケジュール

2025年度のスケジュール例(第1回募集):

  • 申請期間: 2025年4月8日(火)~4月17日(木)
  • 書面審査: ~6月上旬
  • 書面審査結果通知: 6月中旬
  • 面接: 7月
  • 総合審査: ~8月
  • 交付決定: 9月

第2回募集: 9月29日(月)~10月8日(水)

参照:創業手帳「【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説」
https://sogyotecho.jp/sogyojyosei2020/

書面審査は形式が整っていれば通過することは難しくありませんが、面接を含めた総合審査を通過するのは簡単ではありません。不安がある場合は、専門家へ申請を依頼するのも1つの方法です。

④事業の実施

交付決定を受けると事業実施期間に入ります。期間は6カ月以上2年以内の間となります。

⑤実績報告と助成金の受給

助成を受けるためには、実績報告も必要になります。実績報告を行えば、その内容を検査されたあとに中間支払いが行われます。対象期間が6カ月の場合はこれが完了検査となり、検査に合格すれば事業終了となります。

対象期間が2年の場合は、完了検査は約2年後になります。助成金の支払いは、検査後の後払いになるということを理解しておきましょう。

申請書の提出先・問い合わせ先

申請書の提出: 電子申請(jGrants)のみ

お問い合わせ先:

公益財団法人 東京都中小企業振興公社

事業戦略部 創業支援課 創業助成担当

TEL: 03-5220-1142

受付時間:原則、平日10:00~17:00(土日祝日、水曜夜間は受付しておりません)

参照:TOKYO創業ステーション「創業助成事業 – サービス紹介」
https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/

2025年からの主な変更点

①重複申請要件の緩和

令和7年度第1回より、公社の「商店街起業・承継支援事業」「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」を除き、他の創業関係の助成金・補助金を過去に受けたことがある場合でも、本助成金と重複する経費でなければ申請可能になりました。

参照:東京都産業労働局「創業助成金(東京都中小企業振興公社)|融資・助成制度」
https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/sogyo_josei.html

②助成限度額の大幅増額

従来の上限300万円から上限400万円へと大幅に増額されました。

参照:補助金ポータル「東京都の創業者向け!最大400万円支援の創業助成金」
https://hojyokin-portal.jp/columns/sogyojoseikin_tokyo

③申請方法の電子化

郵送での申請が廃止され、電子申請のみとなりました。

④対象経費の明確化

事業費、人件費、委託費(市場調査・分析費)に分類され、より分かりやすくなりました。

創業助成事業の理解が事業拡大につながる

本記事は、東京都の創業助成事業について助成要件や申請書の作成方法、受給までの流れを説明いたしました。この事業を活用すれば、起業後の大変な時期に最大400万円もの助成金を受給できます。

ただし、助成金の支払いは実績報告および検査完了後の後払いとなるので注意しておきましょう。受給のための要件は詳細に設定されているため、申請にはある程度の知識と作業時間が必要になります。起業前後の忙しい時期が申請時期となるため、必要に応じて専門家への依頼を検討することも必要かもしれません。

専門家へ依頼する場合は、助成金の申請に長けた専門家が多数登録している補助金バンクを活用するのがおすすめです。効率的に申請を行い、起業後の苦しい資金繰りを助成金で乗り切りましょう。

注意: 申請要件を満たすための創業支援事業の利用にはおおむね2カ月以上かかるため、申請を検討している方は早めの準備を始めることが重要です。

申請・受給時の重要な実務ポイント

①会計処理・帳簿整理の体制準備

助成金の申請・受給にあたっては、対象経費の領収書管理支出実績報告の整合性確認が非常に重要です。交付決定後は、すべての対象経費について適切な会計処理と帳簿整理が求められるため、早期に体制を整えておくことをおすすめします。

②税務上の取り扱いについて

助成金は原則として課税所得に含まれるため、法人税や所得税の対象となります。特に法人化を検討している場合や、助成金額が大きい場合は、税理士との連携を早めに行い、適切な税務処理を確認しておくことが重要です。

参照:Square「【2025年】東京都の補助金・助成金|個人事業主・中小企業・起業家向け」https://squareup.com/jp/ja/townsquare/subsidy-tokyo

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