副業でキャリアを戦略的に築く!製薬・コンサルを経て新規事業開発へ転身したMさんの挑戦

キャリアの選択肢が多様化する今、「副業」は新しい経験や出会いを得る手段として注目を集めています。
製薬会社での営業職からコンサルティングファームを経て、現在、金融機関にて新規事業開発部門に所属するMさんも、その1人。キャリアのステップアップにおける戦略の一つとして副業を活用し、自分らしい働き方を模索してきました。今回は、M様のキャリアの歩みと、副業を通じて見えてきた“働く意義”についてお話を伺いました。

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製薬営業からコンサル、事業開発へ──キャリアを横断して切り拓いた道
――まずはこれまでのご経歴や現在どのようなお仕事をされているのか、簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。
現在は大手金融機関の新規事業開発の部門に所属し、新しい事業を生み出す業務に携わっています。新卒で入社した製薬会社では、MR(医薬情報担当者)として営業職を10年経験しました。
その後、大手総合系コンサルティングファームへ転職し、コンサルタントとしてのスキルを身につけた後、現職に転職しました。副業は製薬会社時代に制度が解禁されて以来、キャリア戦略の一環として継続しており、現在は本業とのバランスを取りながら活動しています。
――営業、コンサルタント、事業開発へと、ステップを積み重ねてこられたのですね。最初の大きな転換点である“コンサルティングファームへの転職”について詳しくお聞かせいただけますか?
製薬会社で営業の現場を経験した後、ゆくゆくは本社のマーケティングや経営企画といった企画職を目指していました。しかし、社内での異動は難しく、転職を試みても、企画職は未経験という壁に阻まれ、なかなか実現できませんでした。
事業開発やマーケティングなどの部署の方々が一目を置くような企業での経験やスキルを積むことで、次の次のステップで企画職へチャレンジすることを想定し、営業職からのキャリアチェンジを目指しました。
最終的なゴールである企画系の仕事に到達するための「中間地点」として着目したのが、コンサルティングファームでした。コンサル業務を通じて、企画立案や経営視点といった汎用的なビジネススキル習得し、「通行手形」として次のステップに生かせると考えたからです。
副業を始めた理由──「辞めずに経験を広げる」という戦略的選択
――そうした中、副業を始められたのはどのような理由からですか?副業を始めたきっかけは、現職(製薬会社)にはない経験を積むことでした。当時は大手企業を辞めて転職するという決断ができずにいたため、「会社を辞めずに経験値を広げる手段」として副業を選択。
自身の経歴を因数分解すると「日系」「大手企業」「営業職」という要素に整理できるので、「海外展開」、「中小企業・スタートアップ」、「マーケティング/コンサルティング/リサーチ」といった、各項目の対局的な領域に意識的に身を置くことを選びました。
営業職ではないマーケティングやコンサルティングの業務に携わることで、社内ではできない経験値を身につけることを目指すためです。これは、将来的な転職やキャリアチェンジに備え、自身の市場価値を高めるための一歩でした。
――本業では得られない“異質な環境”を積極的に取りにいかれたのですね。これまで実際にどのような副業に取り組まれてきたのでしょうか?
初期の製薬会社時代は、海外の市場調査や事業展開に関するマーケティングなどの業務が中心でした。コンサルティングファームを経てからは、培ったスキルを生かし、スタートアップやVCへの業務支援などのコンサルティング業務を行ってきました。
ヘルスケア業界における営業職でしたが、いまでは異業界、異業種への支援も実施。社長と1対1での壁打ちなど、企業経営や組織づくりに関する支援も行っています。ほとんどの案件は、紹介やつながりからで、次のキャリアへの布石や人脈拡大を意識して取り組んでいます。
――その中でも特に印象深い副業のエピソードがあれば教えていただけますか?
製薬会社時代に始めた最初の副業案件です。まさに「逆張り」の戦略で選んだ案件であり、海外市場リサーチやクライアント対応でした。
製薬会社の営業として慣れ親しんだ環境とは違い、企業調査の方法から書類管理のシステムまで、何もかもが新鮮で苦労の連続でした。この経験を通じて、大企業では得られない情報収集のスキルや、スプレッドシートやSlackなどのスタートアップ的なツールの使い方を身につけられました。
この案件を通じて取得した「マルチタスク能力」や「視座の広さ」は、後のコンサルティングファームで、非常に生かされていると感じています。今でもこの案件で関わった方たちとは、やり取りが続いています。
本業との両立で直面した“壁”──業界外の常識とマルチタスクの難しさ
――初めての副業が、今のキャリアを支える基盤の1つになっているのですね。当時、本業との両立では大変さもあったと思いますが、どのような点が特に苦労されましたか?大変苦労しました。まず、製薬会社という限られた世界にいたため、業界用語やビジネススキルの汎用性の低さに直面しました。また、企業のIR情報を見て決算書を読み解くといった、一般的な企業分析方法もわかりませんでした。
MR時代は、顧客情報や施設情報、競合他社とのシェアなど、営業に必要な情報の多くを会社が提供してくださっている恵まれた環境であったものの、副業時は全くそれがありませんでした。
何よりも大変だったのは、「脳の切り替え方」です。最初は本業と副業の2つのテーマを同時に追うことに苦労しました。この経験が、コンサル時代に複数のプロジェクトを並行して管理する際の、高度なマルチタスク能力につながりました
――そうした経験を重ねる中で、副業の“役割”にも変化があったのではないでしょうか?
コンサルティングファームで働き始めてからは、汎用スキルが身につき、大手ファーム所属という肩書きも得たことで、副業でも高単価を得られるようになりました。もともとは経験値を高める目的で始めた副業でしたが、単価が上がるにつれて、「副収入を得ること」以外に得られるものがなくなっていることに気づきました。
いまは一旦いただく案件を整理し、自身が心の底からやりたいと感じるもの、以前からチャレンジしたいと思っていたことを実施するための役割として副業を実施してます。
そのうえで、次のキャリアへの「助走」としての意義は、一貫して持ち続けています。
――今後のキャリアを見据え、副業をどのように生かしていきたいと考えていますか?
今後も独立ではなく、どこかの組織に属しながら副業を続ける「ポートフォリオを分割する働き方」を考えています。次の本業のキャリアとしては、新規事業にはこだわっておらず、より裁量権をもって、事業や会社をグロースさせることに責任をもって携わっていきたいと思っています。
また、自身の仕事を複数持つメリット以外に、副業はまさに次のキャリアへの「助走」として活用したいです。例えば、入社する前に副業という形で関わることで、会社のカルチャーや仕事内容が自分に合っているかを見極められます。お互いのミスマッチを防ぎ、入社後直ちにパフォーマンスを発揮できる「Day 1からのスタート」を切るための、相互の見極めの場として、副業は最適な役割を果たすと考えています。


